ゼレンスキー氏「このままでは国連解散」 安保理演説で訴えた「機能不全」

ウクライナのゼレスンキー大統領が2022年4月5日午前(米東部時間、日本時間同日夜)に開かれた国連安全保障理事会の会合でオンライン演説を行い、ロシア軍撤収後のウクライナ北部キーウ(キエフ)州ブチャをはじめとする国内の惨状を訴えた。

国連の機能不全にも改めて言及。「国連安保理の拒否権を、殺す権利に変えている国家を相手にしている」として、ロシアが常任理事国として拒否権を持っていることを問題視し「このままでは、国連は簡単に解散しうる」などと訴えた。

■残虐行為は「面白半分に」行われた

ゼレンスキー氏は、ブチャには「アパートや家の中で殺された人、手榴弾で吹き飛ばされた人、道路の真ん中で戦車に轢かれた人」がいたとして、これらの行為は「面白半分に」に行われたと訴えた。その上で、それを行ったのが国連安保理の常任理事国だという点を問題視した。

「これは、イスラム国(IS)のテロリストが占領地で行ったことと何が違うのか。国連安保理の常任理事国が行った、という点を除けば」

こういった状況を踏まえて国連の機能不全について次のように話した。

「安保理が担保すべき安全保障はどこにあるのか。安全保障はどこにもない。安保理は存在しているが、何事も起こらなかったかのようだ」

国連の目的として「国際の平和及び安全を維持すること」をうたった国連憲章の第1条に触れながら、「今、国連憲章は文字通り第1条から破られている。もしそうなら、他のすべての条文に何の意味があるのか」とも。「解散」という言葉を使いながら、次のように訴えた。

「我々は、国連安保理の拒否権を、殺害する権利に変えている国家を相手にしている。世界的な安全保障の仕組みを根底から覆している。悪が罰せられずに世界中に広がることを許している。平和と安全のために役立つすべてのものを破壊している。このままでは、国際法や国際機関ではなく、各国が武器の力に依存して安全保障を確保するという結末が待っている。このままでは、国連は簡単に解散しうる」

■「拒否権」を「殺す権利」にさせないために

ゼレンスキー氏は「国連を解散する準備はできているのか。国際法の時代は終わったと考えているのか」と問いかけ、「もし答えがノーなら、今すぐ行動する必要がある。国連憲章の力を直ちに回復させなければならない」と話し、具体的には「拒否権」を「殺す権利」にさせないために「安全保障理事会に世界のすべての地域から公平な代表が集まる」形での改革を求めた。

演説の最後には、ウクライナ各地で撮影されたとされる動画が流され、真っ黒に焦げた遺体などが映し出された。

一方、ロシアのネベンジシャ大使は、ウクライナ側の演説を「フェイクショー」だとして、従来の立場を繰り返した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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