他の乗客にいきなり説教... 電車・バスに「困った正義の味方」があふれる理由とは?

他の乗客にいきなり説教... 電車・バスに「困った正義の味方」があふれる理由とは?

他の乗客にいきなり説教... 電車・バスに「困った正義の味方」があふれる理由とは?の画像

電車やバスの中で、乗客のマナーなどにキレて突然怒り出す人がいると、ツイッター上などで報告されるケースが相次いでいる。

なぜ突然キレたりするのか、どう対処すべきなのか、などについて、専門家に話を聞いた。

「健全な者がなぜ優先席に座っているのか!」

「健全な者がなぜ優先席に座っているのか!」。大阪府警の都島署にJ-CASTニュースが聞いたところによると、50代の男性は、電車の優先席に座っていた別の男性にキレてこう怒鳴ったと、事情聴取に対して話したという。

2019年5月14日午後、大阪市内のJR大阪環状線・玉造駅に止まっていた内回り普通電車の車内でトラブルは起きた。この影響で、内回り電車に最大10分ほどの遅れが出た。

優先席のマナーを巡って、この2人あるいは片方が相手の首を絞めたとの話もあるという。警察に110番通報が入ったが、JR西日本の近畿統括本部などによると、優先席の男性は被害届を出さずにそのまま玉造駅で降りた。キレた男性は、車掌と一緒に京橋駅まで電車に乗り、駅に出向いた都島署員から事情聴取を受けた。

しかし、優先席の男性や目撃者からの事実確認はできなかったため、都島署は、この男性をそのまま帰していた。男性にケガはなかった。健常者とみられる優先席の男性に怒鳴っていたらしいが、キレた男性やほかの乗客に障害があったか、などは分かっていない。

この情報は、当初は、電車の運行情報のツイッターで出回り、驚きの声が次々に上がった。過去には、優先席を巡って、JR大阪環状線・大正駅で2018年2月、62歳の男が譲らないことに怒って30代男性の腹を刺す事件が起きたことがある。

杖をついた高齢者にベビーカー固定席を譲ってもらうと...

このほか、乗客のマナーなどに突然キレる人がいることは、SNS上で度々取り上げられているようだ。

育児休暇中という東京都内在住の30代会社員女性は5月9日、ベビーカーに生後4か月近くの子供を乗せてバスに乗ったところ、杖をついた高齢者の男性にベビーカー固定席を譲ってもらった。

向かいの優先席が空いていたため男性の善意に応じたが、男性は席に座らずそのまま満席になった。すると、その後に乗ってきた別の乗客女性が怒った様子で、「子ではなくスマホをみているあなた(ママ?)へ」と題する紙を手に押し込んでバスを降りたという。

そこには、高齢者を立たせているのは不可解で、同乗者はみな軽蔑してみていたと書かれてあった。「『子連れ様』の優遇を当たり前だと思わないで」と指摘され、女性は、「どうすればよかったんだろう。悲しい」「そういう目で見られると思うと怖くてバス乗れなくなる。。」とツイッターで漏らしていた。

この女性は、「ベビーカー持って立ってるのはブレーキの時とかかなり怖いので空いてるならなるべく座るほうがいいと思ってました」という。ただ、「万人に嫌な思いをさせない行動を100%取るのは無理ですが、周りを見て行動するのは忘れないようにしたいと思います」とも書いている。

ベビーカーやスマホのマナーについては、別の体験談もツイッター上に書き込まれている。

電車内でスマホをすると、息子は熟睡なのに「子供を見ろ!」

40歳前後の保育士女性は5月15日、電車内に1歳9か月近くの息子を乗せたベビーカーを持ち込み、入口横のベビーカー優先スペースにいて、病院予約のために1〜2分間スマホをしていた。すると、別の乗客女性にいきなり手首をつかまれ、こう怒鳴られたとツイッターで明かした。

「あなたが見なければいけないのは! スマホじゃなくて!! 子どもや!!!」

言われた女性が「予約してるんですけど?」と反論すると、「そんなもん言い訳にならんわ!」と怒鳴って降りて行ったそうだ。ベビーカーの息子はぐっすり眠っていたといい、「確かに子ども放置でスマホしてる親もいるので怒りはわかりますが、頭に血を昇らせる前によく見てから絡んで欲しいです」と訴えている。病院予約には受付開始時間があるため、電車内でスマホをするのは仕方なかったとも言う。

ただ、「仮に前日予約が可能やったとして、だから何?ですね。子どもが寝てても母親であったらスマホは触ったらダメ?笑」「仮に長い時間スマホ弄ってたからといって、なんなんでしょうね。私がどこで何をしようが、他人に迷惑かけてないのであれば私の自由ですよ」「万が一があるから、必要最低限しかスマホ利用はしていませんよ」と納得いかない様子だった。

「家庭や職場でのイライラ背景にあり、車両乗り換えなどの対処を」

電車やバス内などで突然キレる人がいることについて、専門家はどのように見ているのか。怒りとどう付き合うかについての啓発活動をしている日本アンガーマネジメント協会のコンサルタント小尻美奈さんは5月21日、J-CASTニュースの取材に対し、こんな見方を示した。

「電車内などでイラ立つケースは、通勤時間が8割ぐらいを占めています。通勤時間は、自分と向き合う時間が多く、家庭や職場でのイライラを引きずりやすくなります。会社に間に合わなさそうで焦ったり、密室に押し込められた状態で不快感が募ったりして、先のような満たされない思いが形を変えて、怒りとなって表れます。また、他の乗客とは利害関係がありませんので、不満をぶつけるはけ口にしやすいことです。例えば、職場の人には言えないが、見ず知らずの人には、言ってもなんてことはないと考えてしまいます」

キレる人は、以前からいたが、最近目立っている理由については、こう指摘した。

「パワハラや虐待が問題になり、暴力や暴言に対して社会の目は厳しくなっています。その結果、以前のように、職場で暴言を吐くことなどが難しい状況があるでしょう。また、夫婦共働きが増えるなど忙しい時代になっており、ストレスを抱えながら満たされない思いをいっぱい持つ人が多くいます。社会がスピード化して、何かを待つなどの忍耐力が低下していることもありますね」

どうしたらキレずにいられるかについては、こう助言する。

「事実と違う思い込みも多いですので、決めつけないことです。深呼吸したり車内広告を読んだり6秒待つなどして、クールダウンをすることが必要でしょう。決していい結果にはならないので、感情をぶつけないことが一番ですね」

怒られた人についても、言い返したりすればトラブルのリスクを負うため、相手の怒りに乗らないことが大事だとした。

「相手がなぜ怒っているのか、冷静に見る必要があります。誤解があるのが分かれば、そのことを伝えてもいいでしょう。しかし、勝ち負けは関係ありませんので、電車であれば、車両を乗り換えたりすることも手だと思います」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)