「ルック・イースト」提唱から40年弱 マハティール首相が語るマレーシアの今

「ルック・イースト」提唱から40年弱 マハティール首相が語るマレーシアの今

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来日中のマレーシアのマハティール首相(93)が2019年5月30日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で会見した。マハティール氏と言えば、1981年の首相就任以降、日本の経済成長に学ぶ「ルック・イースト(東方)政策」を推進してきたことで知られる。

それから38年が経とうとする今でも、日本人が持つ「恥の概念」などを引き合いに、「マレーシアは依然として『ルック・イースト』」だと強調した。ただ、「今は韓国、台湾、中国、その他諸国も見ている」とも発言。マレーシアにとって「ルック・イースト」の性質が変化していることをうかがわせた。

田中康夫氏、日本の現状は「『ルック・イースト』の哲学とは対極」

記者会見では、元長野県知事で作家の田中康夫氏が、英語で

「今の日本は出生率が低く、高齢化が進んだとして知られるようになってしまった。日本人は現状に満足してしまっている。これは『ルック・イースト』の哲学とは対極だ」

などと指摘。これに応える形で持論を展開した。

マハティール氏は、1960年代に来日した際に

「日本人は勤勉で、国の再建に意欲的で非常に一生懸命だった。そのような心構え、価値観を災害対策や復旧に適用できたら、どんな国にとっても参考になると思っていた」

といった印象を持ったことを明かしながら、今の日本について

「自分の能力に自信を失うべきではない。学びたいと思う」

として、日本から投資以外に「恥の概念」といった倫理観を取り入れるべきだとした。「恥の概念」が日本の物作りを支えている、という見方だ。

「何か失敗したら、かつては『ハラキリ』しただろう。今は『ハラキリ』はしないだろうが、高層ビルから身を投げてしまう人もいるだろう。恥の概念というのものが、日本の最高品質の製品を作る原動力だと思う。製品について恥に思いたくないという心構え、気持ちは、他の国にとって気づきになると思う」

日本の以外の「イースト」も「ルック」の対象に

マハティール氏は「ルック・イースト」を継続していること強調する一方で、同時に日本以外の「イースト」も「ルック」の対象になっていることに言及。日本の相対的な重要性が下がっていることをうかがわせた。

「マレーシアは依然としてルック・イーストだ。日本のみならず、今は韓国、台湾、中国、その他諸国も見ている。と同時に、欧米を見失わずに欧米からも学ぶことが沢山あるが、同時にイーストから学ぶこともたくさんある。ルック・イーストから多くの恩恵を受けたと思っている」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)