中国「裸足のウルトラマン」の裏事情 ウルトラ複雑な状況とは

中国「裸足のウルトラマン」の裏事情 ウルトラ複雑な状況とは

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中国で勝手に「ウルトラマン」映画が製作されその発表が行われたとし、ウルトラマンの生みの親、円谷プロダクションが2017年7月19日に法的措置を含む断固とした措置を取るとの抗議声明を出し、日本だけでなく中国からも「ウルトラマン」は円谷プロのものだから「当然だ!」という声があがった。

一方、制作会社は著作権をクリアしているとし、その契約書と思われる書類写真が中国のネット上に出回っている。許諾したのは「UMCorporation」(ユーエム株式会社)という日本企業名が書かれている。いったいどんな会社なのか。

北京で制作発表

騒動の経緯は2017年7月10日、北京で中国のCGアニメ映像制作会社・広州藍弧文化伝播有限公司が『鋼鐵飛龍之再見奧特曼(ドラゴンフォース さようならウルトラマン)』の制作発表を行った。公開は10月とした。映画はCGアニメーションなのだが、舞台には特撮に登場するような「ウルトラマン」も登場した。でもその「ウルトラマン」は肌に直接ペイントをしていて裸足であり、顎の形が変だ、などと中国内で話題になり、「海賊版か?」などと騒がれた。それが日本に伝わり、円谷プロは7月19日付けで、この映像作品は当社の許諾・監修等なく製作されているものであり、ウルトラマンブランドを著しく毀損していて到底認められるものではない、と抗議声明を出し、

「本件発表を行った中国企業、および本件映像製作に関与している者に対し法的措置を含む断固とした措置をとってまいる所存です」

とした。

一方の制作会社は、正規な著作権契約を結んでいると主張している。中国のネット上には実物なのかどうかわからないが、制作会社が結んだという著作権契約書の写真が出回っている。そこに書かれている名前の一つが日本のユーエムという会社名だ。

実は、「ウルトラマン」の海外展開を巡る訴訟が何度も繰り返されていて、混沌としている。それは「ウルトラマン関連商品を海外で販売できる独占利用権」をめぐるもので、当時の3代目社長が1976年にタイ人の実業家に売り渡したというもの。この契約書が本物なのかどうかで訴訟が繰り返され、円谷プロが1997年に東京地裁に起こした訴訟は最高裁まで持ち込まれ、東京高裁の、タイ人実業家が海外独占利用権を持つとの判決が2006年に確定した。

一方、「契約書は偽造されたもの」と主張する円谷プロは、タイでも同様な訴訟を1997年に起こしていて、タイの最高裁は2008年に書類を「偽造されたもの」と認定した。そのタイ人実業家の損害賠償請求権を継承したのがユーエムだ。同社ホームページには、

「ウルトラマンの海外利用権を持つ会社です」

と明記している。

円谷プロ「声明文に書いてあることが全てです」

さらに、

「ウルトラマンの利用範囲は、ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウ、他ジャンボーグエースのキャラクターで、その話の中に出演する怪獣他、プロップス等の範囲に及びます」

などと利用権利が記されている。

円谷プロは今回の抗議声明で、ウルトラマンシリーズの初期映像作品に関する日本国外の利用権の取り扱いは、長期間に亘って複数の国で係争が続いていると説明した後に、

「いずれの判決においても、一貫して、当社がすべてのウルトラマンシリーズの製作者であり、その著作権を保有している点が認められております。また、本件映像作品のような新規著作物の製作、ウルトラマンシリーズキャラクターの翻案・改変等の権利は当社のみに帰属するものです」

と主張している。

中国のネット上の意見を検索すれば、

「円谷プロのウルトラマンを勝手に制作するのは中国の恥」

といった意見が圧倒的に多いが、権利関係がいまだによく分からない状況のため、現実では中国版「ウルトラマン」に関しても、両者の争いが続いていくことになると予想される。なお、J-CASTニュースがユーエムとの関係などを聞くため17年7月21日に円谷プロに取材したところ、

「声明文に書いてあることが全てです」

ということだった。