北陸新幹線「浸水」被害 過去の例と比較すると...際立つ深刻さ

北陸新幹線「浸水」被害 過去の例と比較すると...際立つ深刻さ

北陸新幹線「浸水」被害 過去の例と比較すると...際立つ深刻さの画像

台風19号は東日本を中心に大きな爪痕を残した。特に千曲川が氾濫した長野県の被害は甚大で、北陸新幹線(東京〜金沢)の多くの車両が浸水した。

今回は1982年(昭和57年)に起きた国鉄王寺駅水没事故と比べながら、北陸新幹線の事故を検証したい。

最悪、120両が廃車か

台風19号により長野県を流れる千曲川の堤防が決壊した。これによりJR東日本「長野新幹線車両基地」が水没し、留置中の北陸新幹線120両が浸水した。浸水の被害に遭った120両は北陸新幹線で運行される車両の3分の1にあたる。

車両の床下が水に浸かったことから、電気系統の部品に何らかの損傷はあるだろう。最悪の場合、被害に遭った全120両が廃車になることも想定できる。

北陸新幹線は10月16日時点で、長野駅〜上越妙高駅間で運転を見合わせている。設備の復旧、点検には1〜2週間程度を要するとのこと。北陸新幹線が復旧してもすべての車両が使えるわけではないため、列車本数は通常の5割〜6割程度にとどまる見込みだ。

37年前に起きた大規模浸水、当時との違いは

台風による大規模な車両浸水事故は今回が初ではない。1982年(昭和57年)8月、台風10号により国鉄関西本線、王寺駅(奈良県)構内が水没。構内に留置されていた電車100両が浸水し、101系の大部分が廃車となった。その後、関東地方や関西の他路線から車両を転用、借用することでピンチを脱した。もともと、水害で廃車となった101系は老朽化による置き換えが予定されていた。皮肉にも水害により、車両の置き換えが前倒しとなった格好だ。

王寺駅の事案は在来線で、かつ全国対応が可能だった国鉄時代であったことも大きい。101系や103系といった国鉄型通勤電車は基本的に全国で活躍することを念頭に設計されていたので、関東から関西への転用も可能だった。

一方、北陸新幹線のケースは製造から10年も経っていない働き盛りの車両が被害に遭った。また、北陸新幹線の周波数は50/60Hzの2種類があり、高崎〜軽井沢間には30‰の急勾配があるなど、新幹線では異色の存在となっている。そのため、他路線で廃車予定の新幹線車両を北陸新幹線に転用することは極めて難しいだろう。

このように浸水した車両はほぼ同数であっても、様々な状況から約40年前に起きた国鉄王寺駅水没事故と比べると、今回の事故はとても深刻だ。分割民営化により全国規模の車両の転用が難しい中で、車両基地が被災した場合の対策も練る必要がある。

(フリーライター 新田浩之)