厚労省・自民党が「テレビ報道」相次ぎ名指し モーニングショー、Nスタへ...「投稿の意図」はどこに

新型コロナウイルス(COVID-19)を巡る報道について厚労省が番組名指しで見解述べる

記事まとめ

  • 厚生労働省などが新型コロナウイルス感染症をめぐるテレビ報道に対し名指しで言及
  • マスク供給に関する「羽鳥慎一モーニングショー」のコメントに触れ省の取り組みを発信
  • 「Nスタ」で専門家が感染力について述べた内容と異なるものとしてWHOの見解を紹介も

厚労省・自民党が「テレビ報道」相次ぎ名指し モーニングショー、Nスタへ...「投稿の意図」はどこに

厚労省・自民党が「テレビ報道」相次ぎ名指し モーニングショー、Nスタへ...「投稿の意図」はどこに

厚労省・自民党が「テレビ報道」相次ぎ名指し モーニングショー、Nスタへ...「投稿の意図」はどこにの画像

自民党や厚生労働省といった与党・官公庁が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐる一部テレビ報道に対し、番組を名指ししながら相次いで言及している。

厚労省は2020年3月5〜6日、不足するマスクの供給に関する「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)でのコメントに触れた。自民党は5日、新型コロナウイルスの感染力について、「Nスタ」(TBS系)で専門家が述べた内容と異なるものとして、世界保健機関(WHO)の見解を紹介した。

「感染症指定医療機関への医療用マスクの優先供給を行った」?

厚労省はツイッターで5日、「3月4日午前8時からの『羽鳥慎一モーニングショー』の出演者から、『まずは医療機関に配らなければだめ。医療を守らなければ治療ができないから、医療機関、特に呼吸器関係をやっている人に重点的に配っていく』とのコメントがありました」と切り出し、次のように省の取り組みを発信した。

「厚生労働省では、感染症指定医療機関への医療用マスクの優先供給を行ったほか、都道府県の備蓄用マスクの活用や日本医師会や日本歯科医師会のルートを活用した優先配布の仕組みをお知らせしています」
「最終的に全ての医療機関に十分なマスクが届くことが必要であり、引き続き、マスクの増産や全ての医療機関を対象とした優先供給を進めてまいります」

前提となっている4日の「モーニングショー」では、厚労省が国民生活安定緊急措置法に基づき、メーカーに対してマスク400万枚を同省へ売り渡すよう指示したことを紹介。感染者が急増する北海道の中富良野町と北見市に配布していくとしたが、配布先が「世帯」であることに疑問を呈した。テレ朝社員で番組コメンテーターの玉川徹氏は「優先度としては医療機関に配るべきだったんじゃないか」と発言。さらに、白鴎大学教授で感染症学が専門の岡田晴恵氏が、こう述べた。

「まずは医療機関に配らないと駄目です。みなさん欲しいのはごもっともですが、医療を守らなかったら治療できませんから、医療機関、特に呼吸器関係をやっている人に重点的に配っていく(必要がある)」

「68感染症指定医療機関に対して、まずは優先供給を行った」

6日のモーニングショーでは、厚労省のツイートを受け、同省に「取材」したという内容を紹介。スタジオに置かれたパネルには、5日夜に厚労省担当者から得たという回答が、このように書かれていた。

「『マスクの優先供給を行った』については言いすぎた表現 『行っている』『開始した』が正しい」

また、医師会などの「ルート」を活用した優先配布の仕組みについての回答は、

「訂正したい そんなことは国会でも言っていない」
「日本医師会 日本歯科医師会に協力してもらって、マスク配布の仕組みを医療関係者に広く知ってもらいたい というつもりで書いた」

と書かれていた。

厚労省ツイッターは6日のモーニングショー終了後、マスク供給について改めて発信したが、表現が変わった。「2月25日、厚生労働省の指示の下、メーカーと卸業者が協力して、医療機関の必要度に応じて、一定量の医療用マスクを優先的に供給する仕組みを作りました」とし、実際の供給実績をこう書いた。

「2月28日にサージカルマスク約41万枚を14自治体、サージカルマスク約18.8万枚を68感染症指定医療機関に対して、まずは優先供給を行ったところです」

5日の投稿では「感染症指定医療機関への医療用マスクの優先供給を行った」としていたが、6日の投稿では「68感染症指定医療機関に対して、まずは優先供給を行った」と限定的な言い方になった。そのうえで5日の投稿の真意を、やはり番組名をあげながらこう明かしている。

「3月4日午前8時からの『羽鳥慎一モーニングショー』の出演者から、『医療機関に配らなくてはだめ』とのコメントを受け、3月5日に、既に厚生労働省は医療機関に優先供給をする方針を自治体や医師会に明確にしていたので、この事実関係をお知らせしたところです」

これら一連の厚労省のツイートは、「首相官邸(災害・危機管理情報)」ツイッターがいずれもリツイートした。

医師「厚労省の『ちゃんとやってます』感が強い」

確かに厚労省は2月25日、各都道府県に対し、医療用マスクの優先供給を要請する文書を出している。限られた数しかないだけに、供給を受けるにはいくつか条件があるが、前提として「当面の間、感染症指定医療機関又は帰国者・接触者外来医療機関を対象とする」という点がある。

「スキームを作ったのはいいが、大半の医療機関には行き渡りません。どこも慢性的にマスク不足です」。上本町わたなべクリニック(大阪市)の渡邊章範院長は6日、J-CASTニュースの取材に現場の実態をそう明かす。

「日本のマスクはほとんどが中国工場からの輸入でしたので、そもそも数が増えません。私も卸業者に問い合わせていますが、商品もなく入荷の見込みもないとのことです。結局、厚労省がマスク供給のスキームを作っても、肝心の生産体制が整っていない。

日本の医療施設は全部で17万以上あります。感染症指定医療機関の総数は約800機関で、割合としては少ない。そのうえ、68の感染症指定医療機関に約18.8万枚をまず供給したと言われても、厚労省の『ちゃんとやってます』感が強いんです。テレビ番組の発言に対してツイートするなら、メーカーとの協議を進めてほしいです」

自民党広報「TBS『Nスタ』で...」

番組を名指しするのは、この事例だけではない。「自民党広報」のツイッターは5日、次のように投稿した。

「3/4のTBS『Nスタ』で女性出演者が『新型のコロナであるため感染が新しいウイルスであり、私たちには基礎的な免疫がなく普通のインフルエンザよりも罹(かか)りやすい』と発言しましたが、厚生労働省は『季節性インフルエンザと比べて感染力は高くない』との世界保健機関(WHO)の見解を紹介しています」
「真偽不明の様々な情報が飛び交い、多くの皆さんが不安や疑問を感じておられるかと思います。首相官邸や厚生労働省には新型コロナウイルスに関する情報サイトが開設され、随時更新されています。ぜひご活用ください」

4日の「Nスタ」(TBS系)では、家庭内での感染を防ぐポイントを紹介。家の中にできるだけウイルスを持ち込まないようにすることが大事だとした。その中で、ゲストの岡田晴恵氏がこう述べている。

「新型のコロナ、新しいウイルスですから、感染は、私たちに基礎的な免疫がないので、普通のインフルエンザより罹りやすい。それは大事なことだと思います」

自民党広報の投稿にあるように、厚労省ツイッターは5日、インフルエンザと比較した新型コロナウイルスの感染力について、こう発信していた。

「一部報道で『新型のコロナであるため、感染が新しいウイルスであり、私たちには基礎的な免疫がなく、普通のインフルエンザよりもかかりやすい。』との指摘がありました」
「新しいウイルスのため基礎免疫はありませんが、普通のインフルエンザよりかかりやすいということにはなりませんし、そのようなエビデンスはありません」
「3月3日に世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの特徴について、中国で得たデータを踏まえ、季節性インフルエンザと比べて感染力は高くないとの見解を示しています」

この厚労省ツイートも、「首相官邸(災害・危機管理情報)」ツイッターがリツイートしている。

「他の番組でも同様のことがあれば、情報を出していきます」

厚労省の投稿で紹介されたWHOの3日の見解では、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの違いについて記載した部分がある。「COVID-19は、これまでのデータから、インフルエンザほどの感染力はありません」「COVID-19はインフルエンザほどの拡散力はありません」(原文は英語)などと明示されている。

一方で「多くの人々が季節性インフルエンザの免疫をつくりますが、COVID-19は新しいウイルスで、誰にも免疫がありません。これは、より多くの人々に感染の感受性があり、一部の人は重症化するであろうことを意味します」(同)とも示されている。

自民党広報担当者は6日、取材に対し、投稿の意図をこう明かす。

「国民生活、国民の命に関わる問題ですから、違うのではないかという情報、誤解を招くような発言があった時は、適切に正しい情報を出していこうという考えからです。トイレットペーパーの買い占めも、デマ情報から起きてしまった事態です。責任政党として正しい情報をお伝えしていこうと考えております」

ただ今回については、「番組での発言が『誤り』とは言っていません」という。

「正しいかどうかがまだ不明な情報を、国民が正しいと思うことは避けたい。私たちは番組や関係者の方々を責めたり、攻撃したり、批判したりしているわけでは全くありません」

番組名をあげたのは、実際にその放送を視聴していた人がどの情報を指しているか判別しやすくなるように、との意図だという。担当者は「ですから、『Nスタ』だけでなく他の番組でも同様のことがあれば、情報を出していきます。正しい判断を皆さんができるようにしていきたいです」と話している。