マスクやめた北朝鮮の軍幹部たち 新型コロナもう「見て見ぬふり」しかない?

マスクやめた北朝鮮の軍幹部たち 新型コロナもう「見て見ぬふり」しかない?

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現時点でも新型コロナウイルスの感染事例が公式には確認されていない北朝鮮で、金正恩・朝鮮労働党委員長は、マスクを着けずにミサイル発射などの現地指導に臨んでいる。

北朝鮮では国民にマスク着用を求めており、正恩氏の現地指導に同行した幹部は2020年3月上旬まではマスクを着用。正恩氏の「特別扱い」が際立っていたが、最近になって幹部もマスクの着用をやめた。新型コロナのリスクが減ったとは考えにくい中での方針転換だ。

マスク不着用は「国の前で罪を犯すこと」だったのに

北朝鮮の国営メディアは、北朝鮮国民に対して特に屋外でのマスク着用を厳しく呼びかけており、着用しないことは「社会の一員として、初歩的な義務も守れずに国の前で罪を犯すこと」(2月22日、労働新聞)だとまで主張している。こういった背景もあって、3月2日に正恩氏が「前線長距離砲兵区分隊」の火力打撃訓練を現地指導した際は、正恩氏と一緒に写真に納まっていた軍幹部とみられる人物は黒いマスクを着用していた。唯一マスクをしていないのが正恩氏だった。なお、国営メディアは2月29日、党中央委員会政治局拡大会議が行われたと報じており、その席で正恩氏は「国家防疫システムの中でいかなる特殊も許容してはならない」と述べたとされる。

正恩氏は3月9日に同じ部隊、3月12日に「7軍団と第9軍団管下砲兵部隊の砲撃対抗競技」を現地指導している。このときも、幹部は黒いマスク、正恩氏はマスクなしだった。

様子が変わったのは3月17日に行われた平壌総合病院の起工式。正恩氏はマスクなしで演説し、正恩氏以外の壇上の人物はマスクとヘルメットをしていた。ステージの下で演説を聴いていた作業員も同様だ。

ただ、正恩氏と幹部が談笑したり、正恩氏が起工の「くわ入れ」をしたりする別カットの写真では、大半の幹部はマスクをしていない。3月20日の「西部前線大連合部隊の砲撃対抗競技」、3月21日の「戦術誘導兵器の模範射撃」の現地指導でも、幹部はマスクなしで正恩氏の後ろに並んでいる。

4月10日には687人が集まる「最高人民会議」が...

朝鮮日報は、こういった状況について、専門家のコメントを交えながら、

「対北朝鮮制裁とコロナ事態で経済難に苦しむ北朝鮮が、コロナをめぐる事態の長期化に備えながら、不安な民心をなだめるために幹部のマスクの着用を禁止したという指摘も出ている」
「コロナをめぐる状況が安定したのではなく、(幹部のマスク着用が与える)副作用が大きすぎるとみると、意図的に状況を小さく見せるためにマスクを脱いだ」

などと分析している。「見て見ぬふり」路線だとも言え、それは北朝鮮当局の意思決定にも透けて見える。例えば3月20日には、国会にあたる最高人民会議を4月10日に召集することが発表されている。全国に687人いる「代議員」が、一堂に会することになる。

ただ、国民に対する締め付けは引き続き厳しい。3月21日の労働新聞の記事では、南東部の江原道川内郡で、一部の幹部が「私たちの社会の健全で戦闘的な生活気風と外れる」形で「職務怠慢」と「飲酒放蕩行為」が行われ、批判のための会議が行われたことを伝えている。党幹部の不祥事が、ここまで具体的に伝えられるのは珍しい。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)