トランプ氏「良い手紙」発言の狙い 数日後の金正恩氏「重篤」報道との関係

トランプ氏「良い手紙」発言の狙い 数日後の金正恩氏「重篤」報道との関係

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北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が「外科手術後に重篤な状態にあるとの情報を米国が注視している」という2020年4月21日のCNNの報道は、「情報を直接知る米当局者」が情報源だとされている。

そこで焦点になりそうなのが、米国の動向だ。トランプ大統領は、正恩氏の動静報道が途絶えた後に、正恩氏から「良い手紙」を受け取ったなどと発言し、北朝鮮側は事実関係を否定したという経緯がある。米側が観測気球を上げた可能性もありそうだ。

写真付きの動静報道は4月12日が最後

国営メディアが正恩氏の動静を写真つきで最後に報じたのは4月12日。北朝鮮は14日に日本海に向けて短距離ミサイルとみられる飛しょう体を発射し、15日には故・金日成主席の誕生日に「太陽節」を迎えたが、国営メディアの現時点での報道を見る限りでは、いずれも正恩氏の姿は確認されていない。

トランプ氏は、正恩氏の動静が途絶えて1週間近く経った18日(米東部時間)の記者会見で、北朝鮮の動向について問われて

「北朝鮮は短距離ミサイルの試験をしているようだ。最近彼(正恩氏)から、良い手紙を受け取った。良い手紙だった。私たちはよくやっていると思う。もし自分が(大統領に)当選していなかったら、今頃北朝鮮とは戦争していただろう」

などと発言し、両者の良好な関係を強調。北朝鮮側の反応を探った可能性もある。

これに対して、北朝鮮外務省は翌19日(日本時間)、国営メディアを通じて

「最近わが最高指導部は米大統領にいかなる書簡も送ったことがない。われわれは、事実無根の内容をメディアに流す米指導部の企図を集中分析する計画である。朝米両首脳の関係は決して、いつでも余談として持ち出す話題ではなく、さらに利己的な目的に利用されてはならないであろう」

などと事実関係を否定する異例の声明を出した。なお、朝鮮中央通信は20日、正恩氏がキューバのミゲル・ディアスカネル大統領(国家主席)に還暦の祝電を送ったことを伝えている。

いずれの記事も写真がないため正恩氏の様子は明らかではないが、北朝鮮側としては、正恩氏が自らの動静の公表を承認するなどの執務が可能だということをアピールする狙いもあるとみられる。

金正日氏の死去は2日以上も伏せられた

ただ、北朝鮮の首脳をめぐる健康不安説や死亡説はたびたび浮上しては消えてきた。

正恩氏の父、金正日総書記(当時)が死去したのは2011年12月17日午前8時半だと発表されているが、北朝鮮が死去を公表したのは12月19日正午。丸2日以上にわたって米国、韓国、日本は正日氏の死去を察知できなかった、という経緯もある。

今回の正恩氏の重篤説をめぐっては、韓国の聯合ニュースは20年4月22日、大統領府(青瓦台)高官の話として

「金委員長は現在、側近たちと地方に滞在していると把握している」
「健康異常を裏付ける特異な動向は把握されていない」

などと伝えている。

トランプ氏は21日(米東部時間)の記者会見で、

「報道があったが、(その内容は)我々は知らない。知らない。金氏とは良い関係を保ってきた。健康を願う、としか言えない」

などと事実関係の確認を避けている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)