ビラまき高校生「私人逮捕」騒動、いったい何が? 目黒区教委、碑文谷署の見解を聞く

ビラまき高校生「私人逮捕」騒動、いったい何が? 目黒区教委、碑文谷署の見解を聞く

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東京都目黒区の区立中学校の近くでビラまきをしていた単位制高校の男子生徒(20)が、この中学校の副校長に暴行したとして110番通報され、警視庁の碑文谷署が学校への公務執行妨害の疑いで逮捕したことについて、高校生が所属する団体がネット上で抗議する騒ぎになっている。

団体側は、副校長が高校生のスマホにわざとぶつけてきたと主張している。これに対し、碑文谷署は、「副校長は、公務中に暴行を受けたので私人逮捕した。高校生は、任意同行後に黙秘したので、身柄拘束した」と説明している。

副校長は、高校生に「自分の姿、鏡で見てみろよなあ」

この高校生は、生徒会に代わる生徒自治組織作りをしている「日本自治委員会」という団体に所属し、2020年7月8日朝に区立中学校から50メートルほど離れた路上でビラまきを始めた。

ビラは、近くにある別の都立高校がコロナ禍の中でもプール授業を行おうとしていたことに抗議し、この高校でも自治委員会作りを呼びかける内容だった。

団体の幹部が編集長をしている(同サイト内のプロフィールより)ニュースサイト「インタースクール・ジャーナル」で8月2日に投稿された記事の動画を見ると、マスクをした副校長の男性ら数人の教員らが高校生を取り囲んでいた。高校生が「ソーシャルディスタンス保って」と後ずさりすると、副校長は「恫喝受けました」などと言いながらいったん離れた。しかし、高校生がスマホで動画を撮り続けていると、副校長は、「おい、いい加減にしろよ、こら」と近づき、「自分の姿、鏡で見てみろよなあ。まったく情けない」とぼやいた。

高校生は、さらに距離を取るように求めたが、副校長らは近づいてきて、「いて! いってえよ」と副校長が右手を左手で押さえた。副校長は、「警察呼ぼうかな」「これ、ぶたれたんだよ、携帯で」と主張したが、高校生は、「こちらこそ、携帯にぶつかられた」と反論した。

高校生の所属団体は、「学校や警察による不当逮捕だ」と主張

これに対し、副校長は、こう言い返した。

「はい、さようなら。はい、どうぞ。そりゃもう、お互い警察で証明しましょうか。呼びますね。逃げるなよ」

副校長が携帯で110番通報をしている様子で、動画が終わっている。

碑文谷署にJ-CASTニュースが8月4日に取材して聞いたところによると、副校長の通報で署員らが駆け付け、高校生を任意同行したうえで、7月8日中に公務執行妨害の疑いで逮捕した。

同署では、7月14日に高校生宅の家宅捜索も行い、高校生は、28日に処分保留のまま釈放した。同署では、8月4日現在も捜査を続けている。

高校生が所属する団体の日本自治委員会は7月9日、学校や警察による不当逮捕だと公式サイト上で見解を出した。その後、高校生が釈放されたことを報告し、31日付でさらに経緯を含めた見解を明らかにした。そこでは、学校に対し、公道で注意したのは公務とは言えず、ビラまきを妨害した表現の自由への侵害でもあるとした。警察に対しては、20日間も高校生を勾留したのは不当逮捕であり、人権侵害だとして、同署に抗議文を出したとしている。

副校長が高校生に注意したことについて、目黒区教委の教育指導課は8月4日、取材にこう説明した。

学校側「交通量が多くて狭い公道で、事故があっては困る」

「高校生は、前日にもビラまきをしていて、子供が集まったり、逆に避けたりして、交通量が多くて狭い公道で事故があっては困ると考えたと聞いています。車がクラクションを鳴らすこともあって、生徒が登校する際の安全確保を考えたということです。ビラをまく行為は禁止できませんので、表現の自由を侵害する意図はないです」

副校長が高校生にした発言については、「動画の内容を詳細に把握していないので、コメントは差し控えさせてください」とした。

高校生を警察に通報したことについては、こう話した。

「高校生が注意を受けられなかったため、当事者同士で解決できないと考え、警察に相談しました。そのやり取りの中で、副校長の体に当たったと聞いています。ケガについては、確認していません。注意するのは、生徒の登校を見守る活動の一環で、公務に入ると考えています」

一方、碑文谷署の副署長は、学校側の対応について、取材にこう答えた。

「先生が学校周辺を警戒しており、公務として仕事をしていたと考えています。先生が高校生を取り押さえなくても、暴行の事実が成立していれば、先生による私人逮捕になります。ケガがあったのかは、捜査中でお答えできません」

高校生を20日間も勾留したことについては、こう説明した。

「高校生が黙秘されたので、身柄拘束しました。期間については、検事の判断ですので、お答えできないです」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)