完全な「非・世襲」総裁は海部氏以来 「菅義偉首相」なら七光り候補が一気に減る?

完全な「非・世襲」総裁は海部氏以来 「菅義偉首相」なら七光り候補が一気に減る?

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辞任を表明した安倍晋三首相の後任を選ぶ自民党総裁選に向けた動きが活発化してきた。岸田文雄政調会長が出馬の意向を明言しているほか、石破茂元幹事長も意欲を見せる。菅義偉官房長官も出馬の意向を固めたとみられる。

この主要3候補のうち唯一世襲でないのが菅氏で、世襲は制限すべきだというのが持論だ。自民党が野党だった2010年のJ-CASTニュースのインタビューでも、「党から公認されるのは世襲の人が多い」などと党の選挙への臨み方を批判していた。官房長官としての会見でも世襲の問題点に言及することがあった。仮に首相の座についたとしても、その持論を曲げることはないのか。

10年前、J-CASTニュース記者に語った決意

野田佳彦前首相など「非自民」では世襲ではない首相は多いが、自民党をみると、父親が石川県能美郡根上町の町長を務めていた森喜朗氏(首相在任:00年〜01年)を除けば、海部俊樹氏(1989〜91年)までさかのぼる。仮に総裁に選ばれれば30年ぶりの「非世襲」だ。

菅氏は、自民党が下野するきっかけになった09年の衆院選で、選対副委員長としてマニフェスト(政権公約)に「『世襲候補』の制限等」を盛り込んだ。党内の反発も大きく、菅氏が当時のJ-CASTニュースのインタビューで明かしたところによると、「マニフェストを発表する当日の総務会が、荒れに荒れました」。麻生太郎首相(当時)も「途中でブレていた」が、菅氏が「私はこれでいきますよ」と押し切ったという。

菅氏は当時、

「国民政党という性格からすると、幅広く、多彩な人材が入ってくるというのが基本だと思います。しかし、世襲の人が立候補することで、それ以外に他の人が立候補を諦めてしまう」

などとして、世襲議員を全体の1割程度に抑えるべきだと主張。選挙制度や党の公認プロセスの問題も指摘していた。

「選挙の仕方も資金の配分も、完全に政党選挙になっていて、党から公認されるのは世襲の人が多い。小選挙区制は若い人が挑戦できる仕組みでなくなっています。私たちは知恵を出すべきだったんですが、出し切れていなかった」

官房長官としての会見でも「私の持論だが、世襲制限は必要」

12年12月に官房長官に就任してからも「持論」は捨てていない。例えば、14年12月の衆院選直後にあたる14年12月26日の記者会見では、

「(09年衆院選)当時、私は選対の副委員長だった。私の持論だが、世襲制限は必要だと思っている。自分がその立場(選対)になったので世襲制限を行った。当時、自民党の国会議員のうち4割近い人が世襲で、党内でも色々な論争があったが、そうしたことを貫いたことで現在は多分1割以下になったと思う」

などと述べた。ただ、この衆院選で当選した自民党候補291人のうち世襲は85人で、「世襲率」は29.2%もある。菅氏の「現在は多分1割以下になったと思う」という発言は正確ではない。菅氏はこの会見で、

「自民党はある意味で幅広く『国民政党』になってきている、そう思っている。色々な方が自民党公認で出馬できる機会が大きく広がった。公募の導入など色々なことを行ったので、そこは間違いなくそういう方向になってきた」

などと状況は改善されつつあるとの見方を示したが、17年の衆院選でも、自民党から当選した議員の3割弱が世襲だった。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)