バイデン氏は、金正恩氏とどう向き合うのか 「虐殺者」「老いぼれ狂人」応酬の過去も

バイデン氏は、金正恩氏とどう向き合うのか 「虐殺者」「老いぼれ狂人」応酬の過去も

バイデン氏は、金正恩氏とどう向き合うのか 「虐殺者」「老いぼれ狂人」応酬の過去もの画像

敗北宣言を出すタイミングが注目される米国のトランプ大統領の功績のひとつが、3回にわたって米朝首脳会談を実現させたことだ。政権移行後の米朝関係はどう変化するのか。

バイデン次期大統領はトランプ氏よりも人権を重視する立場で、2019年には北朝鮮の金正恩委員長について「虐殺者」「社会的には何の価値もない男」などと非難。北朝鮮側はこれを念頭にバイデン氏を「執権欲に狂った老いぼれ狂人」「こん棒で叩き殺すべき」と主張するなど、激しい応酬が展開されたという経緯がある。バイデン氏は大統領選の終盤で、米朝首脳会談の条件として北朝鮮側が「核の能力を減少させること」に合意することを挙げている。北朝鮮側の非核化に向けた姿勢がどう変化するかも焦点になりそうだ。

かつてはトランプ氏とも応酬

北朝鮮とトランプ氏の間でも、かつては激しい応酬が展開されていた。17年9月には、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返したことを念頭に、トランプ氏は正恩氏のことをツイッターで「ロケットマン」と連呼。国連総会の演説で「ロケットマンは自殺行為をしている」などと批判した。対する北朝鮮側はトランプ氏を呼び捨てにしながら「米国の狂った老いぼれ」などと非難した。両者の関係はその後改善され、18年6月にシンガポールで行われた首脳会談に至るが、北朝鮮とバイデン氏との応酬は、さらに苛烈だ。

バイデン氏は19年11月11日にアイオワ州で行った演説で、トランプ氏と正恩氏が親書のやり取りしていることを念頭に、

「この大統領(トランプ氏)は、虐殺者とラブレターの話をしている。この男(正恩氏)は、テープルの向こうにいた叔父の脳みそを吹き飛ばし、兄を空港で暗殺させた。社会的には何の価値もない男だ」

などと、張成沢氏の処刑や金正男氏の殺害を非難した。当時バイデン陣営が流していたテレビCMは、トランプ氏が金正恩氏やロシアのプーチン大統領らと握手する映像を流しながら

「独裁者と暴君は称賛され、同盟国は脇に追いやられる」

と非難する内容だった。バイデン陣営としては、トランプ氏と正恩氏の距離が近すぎることを批判する方針をとっていたわけだ。

朝鮮中央通信、バイデン氏を「こん棒で叩き殺すべき」

北朝鮮側は激しく反応した。朝鮮中央通信が11月14日、「狂犬は一刻も早くこん棒で叩き殺すべきだ」と題した論評記事を配信。バイデン氏について

「政治家としての品格はおろか、人間の初歩的な体裁も備えられなかったバイデンが先日、われわれの最高の尊厳を冒とくする妄言をまたもや吐いたのである」

などと非難した。「われわれの最高の尊厳」とは、北朝鮮の最高指導者、金正恩氏を言い換えた表現だ。「妄言」が具体的に何を指すかは明らかではないが、アイオワ州での演説内容を念頭に置いているとみられる。

声明では、オサマ・ビンラディン容疑者の殺害計画について、失敗した際の政治的リスクが大きいとしてバイデン氏が慎重姿勢を示していたことについて指摘し(後にバイデン氏は「作戦を支持していた」と発言を修正)、

「このような政治奸商が大統領選挙で2回も落選しても三日飢えた野良犬のように歩き回り、大統領選挙競争に熱を上げているというのだから、バイデンこそ、執権欲に狂った老いぼれ狂人である。それに痴呆末期症状まで重なって自分が仕えていたオバマの名前まで忘れて『私の上司』と言ったのを見ると、今やあの世へ行く時になったようである」

などと非難。バイデン氏の殺害まで主張した。

「バイデンのような狂犬を放置するならより多くの人々を害するので、もっと遅れる前にこん棒で叩き殺すべきである」

米朝会談は「核の能力を減少させることに彼(正恩氏)が同意するという条件付きで」

バイデン氏は11月15日に声明を出し、

「殺人的独裁者の金正恩氏は、私のことが好きではないようだ。私が大統領になることを望まない人のリストに、彼を加えておいてほしい。ちょうどプーチン大統領の隣に。彼らからの侮辱は、名誉の印として受け取ることにする」

などと反応。

大統領選の終盤でも、バイデン氏はトランプ氏よりも厳しい対北姿勢を示している。20年10月23日に行われた最後のトランプ氏との討論会では、バイデン氏は

「トランプ氏は北朝鮮を正当化した。チンピラを自分の友人として話題にしている」

などとトランプ氏の姿勢を非難。米朝首脳会談の可能性については「核の能力を減少させることに彼(正恩氏)が同意するという条件付きで」応じるとの考えを示した。

米朝関係の影響を強く受けるのが南北関係だ。韓国の調査会社、リアルメーターが11月6日に韓国国内で行った世論調査では、バイデン政権で南北関係がどう変化するかを聞いている。最も多かった答えが「大きくは変わらない」の48.8%で、次に多かったのが「悪くなる」の26.5%。「良くなる」は16.4%で、「良くなる」よりも「悪くなる」と考える人の方が多かった。

20年11月11日の時点では、北朝鮮の国営メディアは大統領選の結果について報じていない。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)