福島第1原発「再爆発の可能性」、中国でデマ拡散 現地メディア「誤訳」きっかけに

福島第1原発に「再爆発の可能性」と中国でデマ記事が拡散 NHKの報道を誤解

記事まとめ

  • 福島第1原発に「再爆発の可能性」があるとする記事が、中国のネット上に拡散された
  • NHKの報道を引用する体裁を取っているが、NHKは「再爆発の可能性」は報じていない
  • 問題の記事は「新たな爆発」に関する文章が削除されたが、変更が反映されないサイトも

福島第1原発「再爆発の可能性」、中国でデマ拡散 現地メディア「誤訳」きっかけに

福島第1原発「再爆発の可能性」、中国でデマ拡散 現地メディア「誤訳」きっかけに

福島第1原発「再爆発の可能性」、中国でデマ拡散 現地メディア「誤訳」きっかけにの画像

東京電力福島第1原発の事故から丸10年が経とうとする2021年3月10日、同原発に「再爆発の可能性」があるとする記事が中国のネット上に拡散された。日本メディアを引用するという体裁の記事だが、日本メディアは原発爆発の可能性は伝えていない。

なぜ、こんな「虚報」が拡散されることになってしまったのか。

微博で「福島原発に再爆発の可能性」のタグ付きで拡散

問題の記事は、

「日本メディア:福島原発に再爆発の可能性 内部で深刻な汚染が発見される」

の見出しで、人民日報海外版のウェブサイト「海外網」が日本時間の16時頃に配信。記事はさらに、「新浪」(シナ)をはじめとするポータルサイトや、中国各紙が持つウェブサイトに配信された。中国版のツイッターにあたる微博(ウェイボー)でも、中国共産党系の環球時報などの公式アカウントが、「福島原発に再爆発の可能性」というタグつきで記事を拡散した。

記事は次のような内容で、NHKの報道を引用するという体裁を取っている。

「日本の原子力委員会が発表した報告書によると、東京電力福島第一原子力発電所内で新たな汚染箇所が発見され、その深刻さは予想をはるかに超えており、当初の廃炉計画を見直す必要がある可能性がある。さらに、1号機および3号機の圧力容器から排出された気体の一部が逆流し、新たな爆発を引き起こす可能性がある」

確かにNHKはこの日、原発事故に関する報告書がまとまったことを報じているが、この日に報告書をめぐる議論が行われたのは環境省の外局にあたる「原子力規制委員会」で、内閣府の「原子力委員会」ではない。

そもそもNHKは、「新たな爆発の可能性」は報じていない。NHKが報告書の内容として報じたのは、次のような内容だ。

「原子炉がある格納容器を守るため、中の気体を外に放出する『ベント』という操作を試みた1号機と3号機では、気体の一部が配管を通じて建屋に逆流していたこともわかり、これにより建屋内の汚染を広げた可能性があると指摘しています。また、逆流した気体には水素も含まれていて、水素爆発につながったおそれもあるとして、今後、設備の検証などを進める必要があるとしています」

記事修正されても配信先では「再爆発の可能性」残ったまま

つまり、2011年の事故時は「水素爆発につながったおそれもある」というNHKの報道を、中国側は現時点の状況として「新たな爆発を引き起こす可能性がある」と誤解したわけだ。

問題の記事は20時30分過ぎに、「新たな爆発」に関する文章が削除され、見出しも「廃炉スケジュールに遅れの可能性」に差し替えられた。

ただし、記事の変更が反映されず、「再爆発の可能性」の記事が載ったままのサイトも多い。こういった記事のコメント欄には

「東京オリンピックは開催できますか?あきらめるべきだと思います」
「10年経ちましたが何もしませんでした」

などの声がある一方で、元々の記事が修正されたことに気付いて

「フェイクニュース。日本語が読めないのか」

と、サイト側を非難する声もある。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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