漁業者ら「納得できない」=処理水の海洋放出に反発

 東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法をめぐり、政府は海洋放出に向けた動きを本格化させた。菅義偉首相が「近日中に判断したい」と表明した7日、福島県内の漁業関係者からは風評被害の悪化を懸念する声が上がった。

 相馬双葉漁協の立谷寛治組合長(69)は「海洋放出になれば、消費者の多くは『良くないものを流す』と捉えてしまうのでは。国が風評対策を示していないことに納得がいかない」と憤った。

 水揚げ量が事故前の2割未満に落ち込むなど、風評被害に苦しんできたが、最近は若手漁師が大幅に増えるなど復活の兆しが見えてきた矢先だった。立谷組合長は「後継者の将来を守るためにも、反対の意思に変わりはない」と語気を強めた。

 相馬市の30代男性は「試験操業が終わりこれからという時なのに、また風評被害が起きるのでは」と懸念する。「上の人の判断になる。(海洋放出に)反対は反対だけど、受け止めるしかないんじゃないか」と諦めた様子で語った。

 同市の漁港近くで水産物を取り扱う仲卸業の男性(48)は「お客さんからの信頼を得て取引額が増えてきた。不買運動につながったらという不安はある」と明かす。他の原発でもトリチウムの海洋放出が行われているとし、「安心安全なんですよと政府はしっかり発信してほしい」と求めた。 【時事通信社】