司法解剖、問われる信頼=元近大教授の検査料水増し

 近畿大医学部法医学教室の元主任教授巽信二容疑者(66)が、司法解剖の検査料を水増し請求した疑いで16日再逮捕された。事件では、捜査や裁判の行方を左右する鑑定書の基礎となる検査で不正が行われており、ある弁護士は「鑑定自体の信頼性も崩れかねない」と強く批判している。

 大阪府警によると、巽容疑者の検査実施報告書や請求書を調べたところ、十数項目の検査のうち、細菌やウイルス、薬毒物など6項目で水増しや架空請求が判明した。一方、鑑定書に記載された検査項目は実際に行われており、現時点で死因などの鑑定結果への影響や捜査上の問題点は確認されていない。

 府警の熱田好司刑事総務課長は「こうした事案が発生したことは遺憾。再発防止に努めたい」とコメントした。

 刑事裁判に詳しい下村忠利弁護士は「弁護士や検察官、裁判官は法医学の素人。裁判では基本的に鑑定書が正しいという前提で進められる」と指摘し、「やっていない検査を不正に請求していたなら大変なことで許されない。鑑定自体の信頼性も崩れかねない」と批判した。

 ある法医学教室の教授は「検査料の不正請求をやろうと思えばできる」と指摘。警察のチェック体制の甘さにも言及し「しっかり監査すべきだ」と話した。 【時事通信社】