五輪後にスポーツ参加増えず=開催都市レガシー分析―「長期的支援必要」・東大など

 五輪の「レガシー(遺産)」の一つとして、開催国・都市で市民のスポーツ参加が増える点が挙げられるが、1996年以降の8大会で開催前後のスポーツ参加率や身体活動量を比較したところ、実際はほとんど増えていないことが東京大が参加する国際共同研究チームの分析で分かった。論文は22日、英医学誌ランセットに掲載された。

 研究チームの鎌田真光・東京大講師は「五輪のブランド価値が普及策に利用できていない」と指摘。「国や自治体、スポンサー企業が連携し、メッセージの発信や『するスポーツ』の機会提供を長期的に支援することが必要だ」と強調した。

 研究チームは、大会前後で市民のスポーツ参加率などに関して3回以上の調査データがある96年アトランタなど夏季5大会、98年長野など冬季3大会について分析した。

 その結果、増加傾向が見られたのは長野大会と2008年北京大会のみだった。ただ、北京大会については検証に必要なデータが不足している可能性があるほか、長野大会もスキーなどのウインタースポーツは増えておらず、五輪以外の要因が考えられるという。

 研究チームは、12年ロンドン大会前後の英国内のインターネット検索も分析。「オリンピック」に関する検索は大会後に急減した一方、「運動」に関連する検索は増え、数年間持続した。だが、スポーツ参加率は向上せず、興味や関心が行動につながっていないことも分かった。

 鎌田さんは「外出自粛や在宅勤務の広がりで『するスポーツ』の重要性は増しており、『体を動かそう』と発信することが重要だ」と話した。 【時事通信社】