早期発表、米国に配慮か=「拙速」批判も−F35墜落原因推定

早期発表、米国に配慮か=「拙速」批判も−F35墜落原因推定

F35墜落原因推定 米に配慮か

早期発表、米国に配慮か=「拙速」批判も−F35墜落原因推定

青森県沖に墜落した航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35A=2017年6月、愛知県豊山町

 航空自衛隊三沢基地(青森県)の最新鋭ステルス戦闘機F35の墜落事故について、防衛省は10日、操縦者が平衡感覚を失う「空間識失調」が原因と推定されると発表し、同型機の飛行を再開する方針を示した。ただ識者らからは、機体の問題を否定する米国側に配慮し、判断を急いだ可能性を指摘する声も上がる。

 空自幹部候補生学校長を務めた林吉永元空将補は発表内容について、「飛行を再開するためのもっともらしい理由だが、意識喪失や機体の不備の可能性はゼロではない。世界初の墜落事故で、より慎重な検討をしてもいいのでは」と疑問視する。

 その上で、「発表や再開を急ぐ理由は何か。米国側への配慮に他ならない」と断じた。同省は将来的に、墜落機と同じ空軍仕様のA型と、海兵隊仕様のB型の計147機の配備を計画している。林氏は「大量購入するため早く問題を片付けたいという意識がにじみ出た、拙速な判断だ」と批判した。

 自衛隊内部にも再開への慎重意見がある。自衛隊のF35は現在、緊急発進(スクランブル)に使われておらず、ある幹部は「実質的に任務を担っていないF35の飛行再開を急ぐ必要はない」と指摘する。飛行中止の長期化による部隊の練度低下への懸念にも、「事故から2カ月もたってしまった以上、練度を戻すのに必要な時間は変わらない」と話す。

 一方、慎重に判断したと評する声もある。元戦闘機パイロットで航空支援集団司令官を務めた織田邦男元空将は、「発表した内容はすぐに分かったはず。2カ月かかったのは、機体などの捜索を続け、より確実な判断をするためだろう」と評価。「今後は空間識失調に至った経緯を分析する必要がある」と述べた。 【時事通信社】