初心者が決めた豪快タックル=挫折糧に成長−ラグビーW杯・中村選手

初心者が決めた豪快タックル=挫折糧に成長−ラグビーW杯・中村選手

高校時代の中村亮土選手(右から2人目)と、指導する富田昌浩さん(右端)(富田さん提供)

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本代表のCTB中村亮土選手(28)は高校時代、入部間もない初心者ながら、試合で相手フォワードをあおむけに倒す豪快タックルを決め、指導者を驚かせた。代表漏れし、日本が大金星を挙げた前回大会の南アフリカ戦はスポーツバーで観戦したが、4年を経た今大会は開幕から先発出場を続け、チームに欠かせない存在となっている。

 サッカー少年だった中村選手は、鹿児島実業高校で本格的にラグビーを始めた。中学3年の夏休みに、ラグビー好きの父親に連れられて同校グラウンドを訪れたことがきっかけだった。その後もたびたび1人で練習に顔を出して、高校生に交じってタックルのないゲームに参加していた。

 コーチとして指導に携わった富田昌浩監督(42)は、高校1年の5月に行われた練習試合が今でも忘れられない。入部1カ月の初心者だった中村選手をスタンドオフで起用すると、突進してきた相手フォワードの花形選手をタックルであおむけに倒してしまった。「自分からタックルに行く初心者はなかなかいない。すごいハートの持ち主だと思った」

 練習に向かう姿勢も一流だった。居残り練習では、ゴールキックを5本連続で決めるまで帰らないなど目標を設定。なかなか達成できない中村選手に帰宅を促しても妥協せず、「夜10時ごろまで付き合わされたこともあった」と富田さんは笑う。

 高校2年の全国大会では、出発直前の練習中に足を負傷し、涙を流しながらベンチで試合を見た。キャプテンとして出場した翌年は、1回戦の後半ロスタイムに、決めれば逆転のペナルティーキックを外した。富田さんは「あの2試合で大きく成長した。本人も大学で頑張るぞという気持ちになったと話していた」と振り返る。

 帝京大の4年生時に日本代表へ初選出されたが、前回W杯には手が届かなかった。中村選手から落選の連絡を受けた富田さんは伝えた。「いちかばちかで選ばれても試合には出られない。いないと駄目だと必要とされる存在になれ」。富田さんの言葉に、落ち込んでいた中村選手は前を向いた。

 「しっかり4年後、日本にいなくてはならない存在になっている」。富田さんは中村選手の活躍に目を細めた。 【時事通信社】