薬価引き下げで利幅縮小=再編続く医薬品卸業界―談合疑惑背景に・公取委

 公正取引委員会が強制調査に乗り出した独立行政法人「地域医療機能推進機構」(東京)発注の医療用医薬品をめぐる卸業者の談合疑惑。業界では薬の公定価格(薬価)引き下げなどにより収益性確保が難しくなっており、卸業者からは「各社とも経営効率化を進めているが、現状は厳しい」との声が漏れる。公取委は、こうした状況が受注調整を図る背景にあったとみて調べている。

 薬価は主に医師が処方する薬の価格で、医療機関や薬局が卸業者から仕入れる薬の実勢価格を基に、原則2年に1回改定されるが、少なくとも1960年代後半以降、ほぼ一貫して引き下げられてきた。

 ある卸業者は「薬価が引き下げられると医療機関や薬局の利益が縮小し、値下げ圧力が高まる」と指摘。安価で「薄利」の後発医薬品(ジェネリック)の普及も収益を悪化させる要因という。厚生労働省によると、ジェネリックの使用割合は現在7割を超えており、政府は来年9月までに8割となるよう目標を設定している。この卸業者は「収益確保のためコスト削減などを進めているが、薬は人の命に直接関わる。必要な所にきちんと届けなければならず、品質管理も重要で限界がある」と頭を抱える。

 苦境を背景に、業界再編の動きも続く。日本医薬品卸売業連合会の資料などによると、会員の本社数は1960年には1300社超あったが、今年3月末時点で70社まで減少した。こうした再編の結果、約9兆円に上る医療用医薬品卸市場は、今回の強制調査対象となった大手4社の系列が約9割を占めるまでに至ったという。

 公取委幹部は、独立行政法人が談合の舞台となったことについて、入札に参加できたのは事実上全国に流通網がある4社のみで「受注調整が容易だった」との見方を示した上で、「全国展開する民間の調剤薬局の方が数量が多いが、卸の言い値では買わない。独法は基準が緩いのでは」と指摘した。 【時事通信社】