真核生物に近い古細菌培養=深海底から採取、進化解明期待―海洋機構や産総研

真核生物に近い古細菌培養=深海底から採取、進化解明期待―海洋機構や産総研

培養に成功した、真核生物に最も近い種類の古細菌(走査型電子顕微鏡写真)。球状(写真上)だが、触手のような突起ができたり小胞(矢印)を放出したりする(下)(海洋研究開発機構の井町寛之主任研究員、産業技術総合研究所の延優研究員ら提供)

 人や動植物などの真核生物に最も近い種類の古細菌を深海底から採取し、研究室で培養して詳しく調べることに世界で初めて成功したと、海洋研究開発機構の井町寛之主任研究員や産業技術総合研究所の延優研究員らが15日発表した。論文は英科学誌ネイチャー電子版に掲載される。

 真核生物の細胞は複雑で、DNAが入った核やエネルギーを生産する「ミトコンドリア」などの小器官があるが、原核生物の細菌や古細菌は核がなく、単純な構造。井町さんらは古細菌が細菌を取り込み、真核生物が誕生したとの見方を示している。取り込まれた細菌がミトコンドリアに変わったという。

 深海底などに生息する古細菌は生物の進化過程を解明する上で重要だが、試験管や皿では培養が難しい。井町さんらは筒を立て、中にスポンジを多数つなげてつるし、本来の生息環境に似せて培養する方法を工夫。2006年に有人潜水船「しんかい6500」を使い、紀伊半島沖の深海底で採取した微生物の中から、真核生物に最も近い「アスガルド」類の古細菌を培養することに成功した。

 この古細菌はギリシャ神話のプロメテウスから、仮の学名を「プロメテオアーカエウム(属)・シントロフィカム(種)」と名付けられた。直径約550ナノメートル(ナノは10億分の1)の球状だが、触手のような長い突起ができたり、小胞を多数放出したりすることがある。

 酸素がない環境に生息し、アミノ酸をエネルギー源として水素を放出。この水素を受け取りメタンを生み出す別の古細菌と共生していることなどが分かった。 【時事通信社】