最大の医療産業都市に=震災で芽生え成長、ベンチャー育成も―神戸

最大の医療産業都市に=震災で芽生え成長、ベンチャー育成も―神戸

神戸港沖の人工島ポートアイランドの南半分に広がる神戸医療産業都市(神戸医療産業都市推進機構提供)

 阪神大震災では、インフラや企業の設備が甚大な被害を受けた。神戸から撤退する企業も相次ぐ中、新たな産業の誘致で復興を図ろうと、神戸港の人工島ポートアイランドに生まれた「神戸医療産業都市」は今年で22年目を迎え、革新的な技術開発や創薬などの一大研究拠点に成長した。

 新都市構想は、「命を守る」を理念に震災から3年後の1998年にスタートした。2000年に理化学研究所の再生医療に関する研究開発拠点が設置されたのを機に、関連企業などが続々と進出。現在は約78ヘクタールに高度専門病院や医療関係の企業、大学、研究機関など368企業・団体が立地し、約1万1000人が働く。日本最大規模の集積を誇り、01年には国の都市再生プロジェクトに位置付けられた。

 公益財団法人「神戸医療産業都市推進機構」の今西正男理事は「先例がなく、当初は半信半疑だった国も、企業の集積が定着するにつれ積極的に支援してくれるようになった」と振り返る。

 市は、研究機関や企業などの連携によりイノベーションを生む環境づくりに力を注ぐ。18年以降、医療機器、創薬・バイオ、ヘルスケアなど分野ごとのコーディネーター26人が橋渡しする。創薬系ベンチャーの育成も大きな柱。今秋には新たなレンタルラボをオープンさせ、ゲノム編集技術を創薬に応用することを目指す企業などが入居予定だ。代表取締役の男性は「パートナー企業とつながる場にしたい」と期待する。

 医療機器のコーディネートチームは13年度以降、樹脂メーカーが開発した輸液を扱う看護師らの安全性を飛躍的に高める器具など43件の実績を挙げた。仲西孝弘シニア・コーディネーターは、医師とメーカーのタッグは事業化戦略などビジネスの視点が不足しがちだと指摘。「信頼関係をつくり、第三者の目線でつなげ、成長を手伝う」と話す。

 大型の企業連携プロジェクトも進む。川崎重工業と医療機器製造のシスメックス(神戸市)が共同出資した「メディカロイド」が開発した手術支援ロボットが、近く発売される予定だ。同社の田中博文常務は「開発と実験、臨床試験を一体的にできるのは立地上のメリット」と話している。 【時事通信社】