「事前復興」人の力で=防災マップや避難路備え―自主組織広がる・阪神大震災25年

「事前復興」人の力で=防災マップや避難路備え―自主組織広がる・阪神大震災25年

災害時のコミュニティーの重要性について語る兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の室崎益輝科長=2019年11月18日、神戸市中央区

 災害発生の前に、被害を最小化しあらかじめ復興を見据えた町づくりなどを進める「事前復興」の考え方が、住民レベルで根付き始めている。兵庫県立大大学院減災復興政策研究科の室崎益輝科長は「事前復興のソフト面である地域コミュニティーをつくり上げておくことが必要だ」と話す。

 阪神大震災後、神戸市内全域で「防災福祉コミュニティ」が結成された。小学校区を基本単位とした計192区にあり、自治会や消防団などで構成される。日ごろから避難訓練やハザードマップの作成などでいざという時に備え、非常時には救助活動やバケツリレーによる消火といった初期対応を担う。

 東日本大震災後には、災害対策基本法に基づき、地域住民や事業者らが自発的な防災活動計画を策定する「地区防災計画制度」が創設された。計画のコミュニティー単位は、マンションや集落など自由。市民でアイデアを出し合い、避難ルートや被災後の対応を決められるボトムアップ型の取り組みだ。

 内閣府の全国調査(2018年時点)によると、41市区町村の248地区で、自治体が策定する地域防災計画に地区計画の内容が反映された。地区計画は、132市区町村の3206地区で策定中といい、広がりを見せている。

 事前復興は、防潮堤の整備や区画整理などのハード面も重要だが、室崎科長は「コミュニティーが良ければ、必要以上にハードに力を入れなくてもいい。被災後の復興もスムーズに進められる」と、人のつながりの重要性を強調する。

 当たり前の日常が奪われたあの日から25年。教訓や経験はその後の災害対応に生かされている。室崎科長は「人間の努力を積み重ねれば、被害を少なくすることができる。二度と同じ悲しみを繰り返してはいけない」と話した。 【時事通信社】