1億年前の細菌が増殖=南太平洋深海底を掘削、採取―培養実験に成功・海洋機構

1億年前の細菌が増殖=南太平洋深海底を掘削、採取―培養実験に成功・海洋機構

米ジョイデス・レゾリューション号で2010年に南太平洋の深海底を掘削し、船上で地層の試料を取り出す様子(写真上)と試料の一例(同下)(IODP・JRSO提供)

 南太平洋の深海底を掘削し、約1億年前(白亜紀半ば)の地層から採取した細菌に密閉容器内で栄養を与えて培養したところ、増殖したことが分かった。海洋研究開発機構や高知大、米ロードアイランド大などの研究チームが28日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。

 1億年前は恐竜が繁栄した時代。海洋機構の諸野祐樹主任研究員は「微生物が十分な栄養がない状態で生き延びたメカニズムを解明したい。進化が1億年止まっていたのかも謎だ」と話している。

 オーストラリアと南米の間にある南太平洋はプランクトンが少なく、海底に堆積する死骸なども少ない。海底下でこれらの有機物を養分とする細菌にとっては厳しい環境であり、地層に閉じ込められた状態で生存し続けられるかは不明だった。

 研究チームは2010年、米科学掘削船「ジョイデス・レゾリューション号」で南太平洋の深海底を掘削。1億150万年前から430万年前までの堆積物を採取し、細菌や古細菌が低い濃度で含まれることを確認した。密閉できるガラス容器に入れ、炭素や窒素の質量が重い安定同位体を目印にしたアミノ酸などを栄養として培養すると、高い確率で取り込まれ、増殖した。

 酸素がない状態では増殖しなかったため、南太平洋の海底下では深い地層まで酸素が浸透しており、生存に酸素が必要なタイプの細菌が多いと考えられる。細菌の中には芽胞を形成して休眠する種があるが、こうした種はほとんどいなかった。 【時事通信社】