「主役不在」で全面対決=ゴーン被告元側近、15日初公判―東京地裁

「主役不在」で全面対決=ゴーン被告元側近、15日初公判―東京地裁

カルロス・ゴーン被告

 日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(66)の元側近で、同被告の報酬隠しに関与したとして金融商品取引法違反罪に問われた同社元代表取締役グレッグ・ケリー被告(63)の初公判が15日、東京地裁(下津健司裁判長)で開かれる。ケリー被告は無罪を主張する方針。ゴーン被告の海外逃亡で「主役不在」となる中で争われる異例の裁判となる。

 検察側の立証予定によると、ゴーン被告は報酬1億円以上の役員の名前や金額の開示が義務化された2010年以降、自身の高額報酬が批判されることを恐れ、ケリー被告と共謀。一部を退任後などに受け取る「未払い報酬」とすることで報酬を表面上、半分程度に圧縮し、10〜17年度の報酬総額を約91億円少なく見せ掛けて各年度の有価証券報告書に虚偽記載したとされる。

 未払い報酬の有無やケリー被告の関与が争点。検察側は、日本版「司法取引」に合意したゴーン被告に近い元秘書室長が極秘に管理していた同被告のサイン入り文書などを基に、未払い分も含め、報酬額は既に決まっていたと主張する。

 ケリー被告の関与については、元秘書室長が上司のケリー被告に未払い報酬を報告。「顧問料」などの名目でゴーン被告が退任後に受け取る報酬隠しの手法は、主にケリー被告が検討していたと立証する方針だ。

 一方、ケリー被告側は報酬隠しへの関与を否定するほか、仮に有報に未払い分を記載していなかったとしても、金商法の解釈上、刑事罰には当たらないなどと主張する予定。ゴーン被告も逃亡前、「未払い報酬は存在しない」と無罪を主張していた。

 公判は隔週で週4日のペースで行われ、来年7月まで70回以上の期日が指定されている。年内の証人尋問は検察側が「立証の柱」と位置付ける元秘書室長で占められ、来年には西川広人前社長(66)らも出廷する見通しだ。

 ケリー被告と共に審理される法人としての日産は起訴内容を全面的に認める方針。

 ゴーン被告のみが起訴された日産資金を自身に還流したとされる特別背任事件は、被告の逃亡により公判の見通しは立っていない。 【時事通信社】