「松橋事件」で国賠提訴=再審無罪の87歳男性―熊本地裁

「松橋事件」で国賠提訴=再審無罪の87歳男性―熊本地裁

記者会見する「松橋事件」国家賠償請求訴訟の弁護団=17日午前、熊本市

 熊本県宇城市(旧松橋町)で1985年、男性が刺殺された「松橋事件」で、再審無罪が確定した宮田浩喜さん(87)が17日、違法な捜査で身柄を拘束され精神的損害を被ったとして、国と熊本県に約8480万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。

 訴状では、長時間にわたる取り調べや、検察による証拠のシャツ片の隠蔽(いんぺい)などの違法行為があったと指摘。無実の罪で長期間の服役を強いられた上、仮釈放から再審無罪が確定するまで社会的偏見にさらされたとしている。

 宮田さんは2015年から熊本市内の介護施設で生活しており、地裁には姿を見せなかった。提訴後に記者会見した弁護団共同代表の三角恒弁護士は「宮田さんは冤罪(えんざい)で一度人生を台無しにされた。なぜ無実の罪で長期間服役しなければならなかったのか、訴訟で明らかにしなければならない」と話した。

 宮田さんは逮捕後に殺害を「自白」し、一審公判中に否認に転じたが、殺人罪などで懲役13年が確定し、服役後の12年に再審請求した。19年に熊本地裁で無罪判決を受け、検察側が上訴権を放棄し確定した。同地裁は同年、宮田さんに約6000万円の刑事補償を支給する決定をした。

 小山徳弘・熊本県警監察課次席の話 訴状が送達されておらず、内容の確認ができていないことからコメントは差し控える。

 熊本地検の話 コメントは差し控える。 【時事通信社】