「この苦しみ分かって」=犠牲警備員の遺族、被害者参加―交番襲撃、14日初公判

「この苦しみ分かって」=犠牲警備員の遺族、被害者参加―交番襲撃、14日初公判

中村信一さんの遺影を手にする妻。事件から約2年半が経過し、初めて写真を公開した=2020年12月10日、富山市

 「この苦しみを分かってほしい」。2018年6月、富山市の交番で警察官が刺殺され、奪われた拳銃で射殺された警備員中村信一さん=当時(68)=の妻が11日までに取材に応じ、苦しい胸の内を明かした。強盗殺人罪などに問われ、14日に富山地裁で始まる元自衛官島津慧大被告(24)の公判には被害者参加制度を利用して出廷するという。

 中村さんは同月26日、交番勤務中に襲撃されて犠牲になった稲泉健一警視(2階級特進)=当時(46)=の拳銃で撃たれた。警察官と間違われて銃撃されたとみられている。

 「何で拳銃を奪われたの」。突然、夫を奪われた怒りの矛先は、当初、稲泉さんにも向いた。裁判参加を決め、関係者の調書などを読み込むうちに、「稲泉さんも市民を守るという使命感で一生懸命闘ってくれた」と感謝の思いを抱くようになったという。

 事件から約2年半が過ぎた昨年12月、中村さんの写真を初めて報道陣に公開した。「おじいちゃんは悪いことをしたわけではない」。孫たちの言葉に背中を押されて決断したという妻は、遺影を前に「(被告は)夫の顔も知らないと思う。何かしら感じるものがあるかな」と語っていた。

 公判は計12回開かれ、判決は3月5日に言い渡される予定だ。被告に直接言いたいことは「書き出せば切りがない」と話した妻は「思いをすべて聞いてほしい」と前を向いた。 【時事通信社】