ビール安売り規制強化を喜ぶメーカーの甘い見通し

 6月1日からスーパーやディスカウントストアでビール類が値上がりし、消費者から悲鳴が上がっている。店によっては、1割も値上げしたところがあるという。
 「従前は、卸売りや小売店に対するメーカーからの“値下げ原資”販売奨励金(リベート)が横行していました。しかし、国税庁が規制の強化に踏み切り、改正酒税法と改正酒類業組合法が施行され、ビールの安売りにストップをかけたのです」(業界紙記者)
 この法改正によって過度な値引き販売を行うと「違反企業名の公表」や「酒販免許取り消し」など厳しい処罰を受けることになる。さらに、リベートの支払い基準が厳格化され、これによりリベートが減ったため、恩恵を受けていた一部の小売店は値上げを余儀なくされたのだ。

 一方で、値上げを喜んでいるのがコンビニだ。従来から値引き率の低いコンビニ各社は小売価格を据え置く意向で「スーパーの価格に対抗できなかったが、ようやく勝負ができるようになる」(コンビニ大手)と歓迎。また、ビールメーカーにとってもリベートの支出が減るため、収益改善となる公算が大きい。
 「小売店に払っていたリベート分が減ったことで業績に寄与するのは間違いない。社内では、冬のボーナスに期待する声も出始めています」(飲料メーカー)

 実際に大手飲料メーカーの株価は上昇が続いている。
 「リベートの減少はメーカーにとっては追い風。投資家も好材料と見ています」(経済エコノミスト)

 “官製値上げ”ともとれる法改正は、表向きは小規模酒店を守るものとされている。しかし、今回の値上げは自由競争を阻み、消費者のビール離れに拍車を掛ける可能性もある。
 「6月に入りビールの売り上げがさらに鈍化している。ビールから缶チューハイに移行する人がかなり目立っています。若者のビール離れは、もう何年も前から深刻化しており、ビール類の国内市場は縮小の一途をたどっています」(小売店)

 メーカー各社は、一時的な収益改善に喜んでいる場合ではなさそうだ。

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