捕獲報奨金の詐欺が横行する“鹿肉商売”の闇

 農林水産省の鳥獣対策室によると、野生鳥獣による農作物被害額は年間200億円前後で「高止まりの状態」だという。特に多いのがシカによる食害だ。
 「推定生息数は、本州以南のニホンジカが305万頭、北海道のエゾシカが57万頭。これは2013年のデータで、シカ類の数はイノシシの4倍強といわれています。本州以南のニホンオオカミ、北海道のエゾオオカミという捕食者が絶滅したので、シカ類はまさに“わが世の春”を謳歌しています」(同省対策室)

 今年4月、政府が官邸主導でジビエ(野生鳥獣肉)料理の利用拡大を目指す対策を発表した。例えば『カレーハウスCoCo壱番屋』では、滋賀県の店舗が'10年から提供を始めたシカ肉カレーが、北海道や長野県などの店に広がっているように、ちまたで目にする機会も増えている。
 しかし、滋賀を除いて常にあるわけではないようだ。
 「シカ肉はビジネスをする上で障害が多い。シカは銃弾が頭か首を撃ち抜いた場合のみ食肉に使えるのですが、それでも売り物になるのは背ロースとモモ肉ぐらいで、100グラム当たり700円前後で取引されるものの、全体の約15%に過ぎません。肉の注文が増えても十分に供給できず、廃棄費用を考慮すると利益が出ないのです」(グルメライター)

 一方、鹿児島県霧島市では、鳥獣捕獲を依頼する猟師を『捕獲隊員』として任命し、イノシシとシカを捕獲すると1頭1万2000円の報償金が出るが、このカネ目当ての詐欺が横行しているという。
 「捕獲に対する国の補助金制度が始まった'13年度からの3年間で、不正受給は少なくとも300件を超えるとみられます。こうしたことから農水省は、捕獲の確認方法を調査する方針を明らかにしました」(地元紙記者)

 生態系は一度破壊されると、人間の手では負えなくなる。ジビエ料理を推進したところで、オオカミの代わりは無理なのだろう。

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