店舗の売上減が止まらない ユニクロの苦悩

 百貨店や衣料品小売業などでは、店舗での衣料品売上が急激に落ち込み、国内各企業とも苦しんでいる。2兆円に届こうかという日本最大級のファッション衣料品販売企業『ユニクロ』を運営するファーストリテイリングも、例外ではない。
 「ファーストリテイリングの2月中間連結業績はユニクロ事業が好調で、純利益は前年比約2倍の972億円と、一見、絶好調に見える。しかし、これは中国や東南アジアでの海外のユニクロ事業の営業利益が6割以上押し上げられたことと、円安での為替差益が大きかったからです。しかし、国内事業での直営店売上は、ほぼ横ばいか'16年後半から'17年前半は前年を下回ることもしばしば。そのため、'15年に出した“'20年に売上5兆円”の長期目標を、3兆円に引き下げたほどです」(経済アナリスト)

 今や“経営の魔術師”とも呼ばれる柳井正ファーストリテイリング社長が率いるユニクロでさえ、なかなか国内店舗での販売が苦しいのだから、他の衣料品販売業は当然苦しい。
 「ユニクロの売上の乱高下は売上推移を調べてみると、'15年6月あたりから。価格破壊の中、ファッショナブルなものを低価格販売することが好調の理由でしたが、市場全体の価格が一時的にアップしたことと、飽きがきたことでユニクロ離れが起きたと言われている。加えて、若い消費者の店舗での購入離れ。つまり、ネット購入の急増です。これはユニクロのみならず、すべての衣料品販売店を直撃しています」(同)

 その厳しい直撃を受けている顕著な例は、百貨店だ。日本百貨店協会が発表した'16年国内全百貨店売上高は、'15年比2.9%減の5兆9780億円と、36年ぶりに6兆円を割り込んだ。
 「百貨店で売上の大きなウエートを占めるのは衣料品で、約3割にのぼる。それが子供服、紳士服、婦人服と4〜6%前後も対前年比マイナスなのです。東京地区の5月の百貨店速報値では、紳士服がマイナス4.7%、婦人服がマイナス5.8%、その他の衣料品がマイナス6.4%。特に婦人服は19カ月連続マイナス。ましてや、若者はカジュアル店やスマホ購入が大半で、百貨店離れが著しいのです」(百貨店アパレル関係者)

 加えて、オシャレの感覚も大きく変わりつつある。
 「シンプルなファストファッションの台頭です。これを子どもから若者、年配の人まで低価格と多様性のあるオシャレ感覚として持っている。百貨店はその流れに乗りきれていない」(同)

 ファストファッションが流行ならば、本来、ユニクロの売上が伸びてもよさそうだが、実際はそう簡単ではない。
 「ユニクロでも、若い人たちを中心にスマホ購入にどんどん人が流れている。その証拠に、ネット通販部門の売上では対前年比4割増と急増しています」(同)

 ユニクロでは11万平方メートルという巨大倉庫を東京の有明地区に展開し、ネット販売に備えている。その売上高は現在総売上の約5%だが、近い将来には30%から50%になるという。実際、昨年8月期時点で対前年比30%増と急増、421億円も売り捌いている。
 消費者が、いかにネット通販に流れているかということを最も顕著に表しているのは、スタートトゥディが運営するアパレルのオンラインショッピングサイト、『ZOZOTOWN』の躍進だ。
 「店舗での衣料品販売に全体的に陰りが見られる中で、異常な伸びを示しているのがスタートトゥディです。『ZOZOTOWN』を中心に、ネット通販で'17年3月期、第3四半期(4〜12月)で対前年比42%増の537億円を売上ている。営業利益は実に64%増の193億円です。'98年設立ですから、わずか20年足らずで東証一部上場企業に駆け上がり、さらに急成長を続けているのです」(アパレル業界関係者)

 経済産業省によれば、日本のEC(電子商取引)市場は'15年統計で13.8兆円。そのうちアパレルは約1.4兆円だ。
 アパレル全体の売上高が15.3兆円だから、10%未満でまだまだ割合は増えそうだ。
 「特に今後、ネット通販が伸びる予兆はスタートトゥディ社の会員構成を見ると一目瞭然。会員の62%が女性で、しかも、男女とも平均年齢は32.9歳。20〜30代の若者がこぞってサイトを利用している。その伸びはシニア層にまで拡大しつつあるのです」(同)

 ここまで見ると、衣料品販売の今後は、ますますネットショップへの方向が強まる気配なのだ。
 「その意味では、店舗販売を展開する経営サイドは、人件費や賃貸料が発生しても、消費者が試着以外に店舗に来店したいと思う必然性、付加価値をつけない限りますますネットに客を奪われていくでしょう」(同)

 ユニクロは店舗対策でどう出るのか。

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