経済効果1兆円狙う 楽天の民泊事業参入の勝算

 2020年の東京五輪時には、現在の倍近い約3800万人の外国人観光客が押し寄せる(都市銀行系シンクタンク推計)ともされる中、ホテルの客室不足が深刻だ。国でも対策の一環として一般住宅を宿泊施設にすることを認める“民泊”活用の法整備が進み、住宅宿泊事業法が成立。経済効果1兆円と言われる民泊事業を巡り、いよいよ関連企業の熾烈な争いが始まった。

 そんな中、6月22日、国内最大のインターネット通販の楽天が、不動産情報サイトを運営するLIFULLと共同出資の新会社『楽天 LIFULL STAY』を設立し、民泊事業参入を発表した。
 「新会社は今後、民泊オーナーと宿泊客をマッチングする仲介サービスの実用化を目指すという。楽天は9000万人会員、そして、LIFULLのサイトには約800万件のデータがあり、年々拡大している。さらに現在、全国約2万2000の不動産会社から、空き家や空き部屋など民泊が可能な物件の情報を集め、法律が施行される来年1月に本格的にサービスをスタートさせる。記者会見でも両社にとって大きなプラスになると、相当、力が入っているようです」(全国紙経済部記者)
 新会社では、例えば、一定数の空き家を確保した場合、不動産特化型クラウドファンディングで資金を募り、リノベーションを実施する案も検討中だという。

 しかし、民泊と言えば、世界最大手は世界190カ国で事業展開するアメリカのエアビーアンドビー社が、すでに日本でも'14年に支社を設立し、通常の宿泊案内に加えて特区を利用し、民泊事業にも乗り出している。
 「同社が'15年の1年間において日本で宿泊を提供したホスト数は約5000名を超えるとされ、さらに、常時5万室を提供できるノウハウを持つ。昨年利用した外国人旅行者は、日本国内で約370万人、前年比2.7倍で一強状態。今後、それをさらに拡大強化させる方向を見せています」(業界関係者)

 この美味しい状態を独占させておく手はないと、『楽天 LIFULL STAY』が殴り込みをかけたというわけだ。エアビーアンドビーの提供室5万室に対し、新会社は40万室の提供を目指す。ただし、民泊事業に新規参入を目指すのは楽天だけではない。
 「米テキサス州に本社を持つ、バケーションレンタルの世界的最大手・ホームアウェイ社が、日本での民泊事業に手を挙げた。バケーションレンタルとは、戸建て住宅を夏季長期休暇で開ける際に賃貸するというもの。そこで積み上げた実績をもって日本での民泊に商機を見出し、エアビーアンドビー社の独占に待ったをかけようという動きです」(不動産関係者)

 ホームアウェイ社では、顧客が一軒家やアパートを部分シェアするのではなく、丸ごと貸し出すサービスを行っている。しかも豪華物件を集め、それらを貸し出すことで他社との差別化を図りたいと模索しているという。
 「海外勢だけではありません。賃貸不動産大手のアパマンショップホールディングスや、レオパレス21も参入を模索している。さらに、民泊を巡っては異業種からの参入も相次いでおり、私鉄の京王電鉄は2月、民泊特区の東京・大田区蒲田に民泊向けの専用マンションをオープンさせ、京王線沿線にある空き家を民泊用の物件として活用することも計画中だといいます」(同)

 そのため、鳴り物入りに思える楽天の参入が、必ずしも成功するとは限らないという。
 「新規参入する面々も強者揃いなら、日本の民泊をほぼ独占状態のエアビーアンドビー社も掴んだ市場を譲る気はさらさらなく、対抗すべくテコ入れに躍起です。やはり日本への旅行客は中国人の比率が大きく、中国には自国の民泊業者がいて浸透に苦戦しているのですが、そこは世界のトップ業者、投資とスタッフを相当中国に投入し始めている。中国第2の賃貸サイトで、企業価値は日本円で約353億円という『小豚』の買収にも動いています。中国を制すれば中国市場だけでなく、日本への中国人民泊希望者を根こそぎ取れると踏んでいるようです」(経済アナリスト)

 さらにエアビーアンドビー社は、日本において最大の人材派遣業・パソナと提携した。
 「その目的は、貸し手のオーナーが民泊業について法律などに疎いうえに、外国語にも困る点。さらには清掃なども含め、様々な問題点やトラブルをパソナが代行して解決するということにあります。これを、きめ細かな民泊の提供につなげようという算段。やはり、実績がある上に数歩先を行っている感は否めません」

 迎え撃つエアビーアンドビー社に対し、満を持して挑む楽天。果たして、勝機はあるのか。今後の熱いバトルに注目だ。

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