2008年“ケアホーム放火致傷事件” 風化直前に持ち上がった冤罪説

 悲しいことに、冤罪はいつの世にも無くなることはない。真実を知っているのは警察でも裁判官でもない、手を下した本人のみなのである。

 2008年6月2日深夜、神奈川県内にあった知的障害者ケアホーム『ハイムひまわり』(以下、ハイム)で、3人焼死、1人軽症という放火火災事件があった。現住建造物等放火罪に問われ、その後、裁判で懲役12年の判決が言い渡されたのは、同施設の所有者であり元管理人のS受刑者(72)。しかし、今、このS受刑者に対し「冤罪ではないか」という疑問が浮かび上がっているという。
 「火元は火の気のない物置だったことから警察は放火の疑いを持ち、Sから任意の事情聴取を行いました。6月10日になって精神状態が悪化したため入院、13日にその入院先で逮捕し身柄を拘束。そして、16日に放火を自供したのです。裁判長は判決の際、こう断じました。《ハイム所有者である自分がないがしろにされたと思い込み、動機や経緯に酌むべき事情はない》と」(事件を取材しているジャーナリスト)

 国際交流に熱心だったというS受刑者は、日頃から服や筆記用具などの寄付を募る慈善事業をしていた。そんな中、警察は当初から放火を疑い、最大の証拠となったマッチ(途上国では貴重品)とS受刑者が結びついたという。二度、三度と事情聴取を受けた近隣住民はほとんどおらず、これには誰もが不思議がり、信望の厚かったS受刑者には1000通もの嘆願書が集められている。
 「S自筆の上申書の筆跡、そこに使われている表現や言葉は、各種書類などに残されたS本人の“それら”と『かなりの違いが見られる』と親族が指摘しています」(同)

 ある元検事が言う。
 「検察には上申書や供述調書を完成させるための“ヒナ型”というものがある。ですから、自白が誘導や強要によるものかは、そこに使われている言葉や言い回しを確認すれば多くは見破れ、自供でないことを主張できる場合も多いのです」
 県総合防災センター内では「物置にあった七輪に炭を入れ、孟宗竹(竹の一種)を置いて新聞紙にマッチで火をつけた」との本人の自供通りに火災が発生するかどうかの実験をしている。事件を取材するジャーナリストは、「ここに冤罪を思わせる驚愕の矛盾点が隠されている」と語り、今後、再審に向けて進めるという。

 S受刑者に1000通もの嘆願書が集まったということは、多くの人の支援活動があったということだ。果たして真実の行方は…。

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