食卓からシラスが消える? 黒潮の“大蛇行”が三重、愛知、静岡県沿岸部に牙をむく!

 「本日シラス漁が出漁しないため、生シラスはありません」
 去年は2日に1回は入荷ができたという静岡産の生シラスが、築地市場にこの1週間は一度も入荷できていないという。これは、日本の太平洋沿岸を流れる黒潮が大きく南側へ反れ始める“大蛇行”が原因と思われる。気象庁の解析により、8月20日ごろから日本の太平洋沿岸を流れる黒潮が蛇行していることが分かった。黒潮の流路の変動は船舶の運航や漁業に影響を与えるほか、潮位を上昇するために沿岸地域での浸水被害が懸念されているが、気象への影響も考えられるという。
 東シナ海を北上してやって来る黒潮は本来、東日本の太平洋岸を流れ、千葉県の房総半島沖を東に進む。しかし現在は、東へ向かう前に紀伊半島から東海地方沖で大きく蛇行し始めており、この状態が続けば約1カ月程度で12年ぶりの大蛇行になるという。

 この事態に、防災ジャーナリストの渡辺実氏は、以下のように警鐘を鳴らす。
 「黒潮の大蛇行が起きると、蛇行の北側の陸に近い沖合に反時計回りの別の海流ができる。そのため東海や関東で高潮が発生しやすくなり、台風や低気圧が近づいた際、低い土地で浸水などの被害が起きやすくなるのです。漁業でも、カツオなどの漁場の位置が変わるなど影響が出る可能性があります」

 気象庁によれば、過去には大蛇行が発生した影響で、やはり台風や低気圧の接近により三重県や愛知県、静岡県沿岸に高潮が襲い、広範囲にわたって床上浸水や床下浸水の被害が出たことがある。
 「黒潮は、北太平洋の亜熱帯域を大きく時計回りに流れる循環の西部にあたります。このような海洋の循環は大規模な海上風によって引き起こされていることから、黒潮の流量(単位時間に運ぶ海水の総量)も海上を吹く風の分布や強さに深く関連していると考えられています」(同)

 当然、その針路も海上風の向きや海水温などと何らかの関係があると考えられているが、今のところよく分かっていない。ただし、日本近海の海水温が次第に上がり続けていることは事実だ。
 「例えば南シナ海で生まれた台風は、暖流である黒潮付近を通ることで水蒸気を吸い上げ巨大化するのですが、黒潮の大蛇行によって日本列島から離れた位置で大型化する。しかも、蛇行を通過した沿岸部あたりの海水温も高くなっているため、さらに勢力を増した状態で日本列島を襲うことになる。気圧の関係で海上で停滞するようなことがあれば、なおさらです」(サイエンスライター)

 最悪の場合を想定すると、海岸での道路の浸水、海岸近くの河川の洪水も想定される。さらに、大蛇行により今冬、東京に雪が降りやすくなるという。大自然に抗う術はない。

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