〈企業・経済深層レポート〉 早くも勃発! ホテル業界が東京五輪後を見据えるサバイバル戦

東京五輪の影響もあり、2020年は4000万人を突破する勢いの訪日外国人客。2010年の約860万人と比べると、5倍近く増えることになる。
「東京の訪日外国人の年間延べ宿泊者数は、’17年度で1978万人。大阪は1167万人で、その差は800万です。この数値は2020年の東京五輪で、さらに大きくなることが予測されます」(ホテル業界関係者)

 この数字に日本人宿泊客が加わる。昨年1年間の東京の延べ宿泊者数は、約6000万人で北海道や大阪府を1000万人単位で引き離す。ホテル年間客室稼働率も80%を超えているという。
「今後、来年は『ラグビーワールドカップ2019日本大会』や世界都市首長による国際会議『U20メイヤーズ・サミット』などがあり、このような大イベント時には、宿泊難民が大量に出ることが予想されています」(同)

 この急激に増えた訪日外国人を受け入れるため、東京を中心にホテルの建設ラッシュが続く。
「東京では2017年以降のホテル新設計画が40件以上にものぼり、さらに今年に入ってからも新規開業計画が相次いでいます。最近の傾向としては、ただ宿泊するだけのホテルではなく、独創的なホテルが増えていますね」(同)

 例えば、2019年10月までにオープン予定の『ホテルJALシティ東京 豊洲』だ。
「このホテルは、ホテルオークラ系列の会社が大和ハウス工業とタイアップして、東京・豊洲に建設中の複合施設内で開業します。豊洲は、晴海の選手村や報道センター予定の東京ビッグサイトからも近く、この地区へのホテル進出は現在、活発です。JALシティは、オリンピック後のことも考えて、トレーニング施設やアスリート関連施設を開設予定です」(ホテルコンサルタント)

 このほか、今年12月に東京・新橋にオープンしたばかりの『ホテル1899東京』も個性的なホテルとして話題になっている。
「老舗ホテル『龍名館』が新規開業したホテルで、外国人をメインターゲットに、客室やホテル内で茶屋体験ができるのが特徴的。日本茶がふるまわれるのは当然の事、室内も茶室空間でお茶文化に触れられる工夫が随所になされています」(同)

 差別化の変わり種ではロボットが接客する『変なホテル』も注目を集めている。
「都内でも赤坂や銀座にオープンして、外国人からの評判が高いですね。2019年には浅草にもオープン予定です」(同)

 ホテル界の革命児、星野リゾートは、東京・池袋の隣、大塚に冒険心満載の『星野リゾートOMO5東京大塚』をオープンした。
「従来のビジネスホテルや観光ホテルとは異なり、二段ベッドを配置。遊び心満載のカジュアルホテルとして、訪日外国人だけでなく、日本人が宿泊することも多いようです」(同)

 不動産会社が運営する泊まれる本屋『BOOK AND BED TOKYO』は“泊まれる本屋”として話題を呼ぶ。
「12月には6店舗目を大阪に開業。本売り場とカフェ、それに寝室が一体となっていて、既存の5店舗では満室も出る人気ぶりです」(同)

 富裕層をターゲットにしたのが、2019年に京都東山に開設予定、米ハイアットホテルズアンドリゾーツの最上級ブランド『パークハイアット』だ。
「老舗料亭『山荘京大和』と竹中工務店が、料亭の敷地内にホテルを建設。世界的なラグジュアリーホテルの要素と日本の伝統と文化を融合させるものという」(観光業関係者)

 帝国ホテルも京都・祇園の登録有形文化財の『弥栄会館』を改修し、地上5階の最高級ホテルを2020年にオープン予定だ。

 近年、このような個性的なホテルが増えている背景には何があるのか。前出のホテル業界関係者は、こう分析する。
「東京五輪後には、急激な需要の落ち込みも懸念されています。そうなると競争は激化。オリンピック後のサバイバル戦に備えて、個性的なホテルの建設がここ数年で増えているのでしょう」

 横浜市でも新旧入り乱れてのホテル建設ラッシュが続くが、ホテル関係者の度肝を抜くのがアパグループだ。2019年の秋に、横浜市に客室数が2311室という国内最大級のホテルをオープン予定で、業界関係者からは「供給過剰で周辺の宿泊費が値崩れするのではないか」と警戒の声も上がっている。
「ホテル業界では、東京五輪や大阪の2025年の万博が終われば、ホテルの供給過剰で、空室が増えることに怯えています」(同)

 建設ラッシュと同時に、水面下では2020年以降に生き残りをかけたサバイバル戦が始まっているようだ。

関連記事(外部サイト)