〈企業・経済深層レポート〉 2019年は業績上昇 旅行業界に吹く10連休GWの追い風

正月早々に海外旅行を検討する人が増えて旅行業界が大いに盛り上がっている。というのも、皇太子さまが新天皇に即位される日が今年5月1日に決定。つまり同日は祝日になり、ゴールデンウイーク(以下、GW)が怒涛の10連休になることが確定したのだ。

「これは昨年の早い時期から検討されていたことですが、年末国会で決定しました。観光業界は年始早々、旅行代理店を訪れる人が大勢いたそうです」(全国紙記者)

 事実、JTBのホームページでGW中の予約状況を確認してみると、4泊5日で30万円前後のハワイツアーがGW直前の4月27日頃からほぼ満席で、キャンセル待ちという状態。ヨーロッパツアーは完全満席という状況だ。この現状にJTBの広報担当者はこう話す。

「昨年のGWより3倍のご予約をいただいております。特に人気なのは国内外のクルーズ客船旅行。GW出発便の、8〜10日間のツアーはすべて完売いたしました。また、海外でも人気のハワイ、ヨーロッパもさまざまな商品が売れ行き好調で、予約を取りにくくなっております」

 赤い風船シリーズ企画でおなじみの大手旅行会社・日本旅行も、現状で一部の商品はほぼ完売してしまっているという。

「当社は今年の10連休を見越して、昨年6月ぐらいから動いていました。その結果、ヨーロッパ添乗員付き8〜10日間のツアーが一番人気でほぼ完売。予約件数は例年の約5倍となっております」(同社広報担当者)

 10連休が確定した年明け早々に動き出した人も多く、現状は海外の人気旅行先からどんどん予約が埋まっている。とはいえ、GW期間に海外旅行に行きたいという人はどうすればいいのか。

「グアムやベトナムのフーコック島など、人気エリアへはチャーター機を使ってのツアー募集があります。しかし、これもすぐに完売になる可能性がありますので、即座に動いた方がいいでしょう。台湾や香港など、アジア方面はまだ今のところ空きがありますので、そちらをご利用いただくのも一つの手ではありますね」(前出・JTB広報担当)

 また、国内旅行は海外と比べて余裕があるという。前出の日本旅行の広報担当者が解説する。

「沖縄や北海道など人気国内旅行先は、すでに例年の2.5倍の予約が入っていますが、ほかの国内旅行先はこれからが本番。ただ、例年より出足は早くなっているため、早めにご予約したほうが無難でしょう」

 年明け早々、追い風が吹いた旅行業界。しかし、今年の旅行ブームは、GWの10連休以外の要因も大きいようだ。

「今年の9月から11月にかけて、北は札幌、南は熊本まで、12の都市でラグビーW杯が開催されます。これも旅行業界が好調の要因になっています」(旅行業界関係者)

 JTBが昨年末に弾き出した今年の国内外の旅行者数の見通しは、国内旅行、海外旅行ともに増加と予測した。

 その内、国内旅行者数は2億9090万人で前年比プラス1.5%。海外旅行者数は、過去最高の1910万人で対前年比プラス1.1%。そして、訪日外国人旅行者数も対前年比12・3%プラスの3550万人(過去最高)と予測している。

 経済アナリストは旅行業界の未来を、こう分析している。

「昨年の訪日客数は史上初の3000万人を突破。そして今年は3000万人台半ば、来年は東京五輪やパラリンピックが開かれ、4000万人突破が見え始めています。ただ、訪日観光客が増えても、消費額は昨年で約4兆4000億円でした。今年は5兆円前後と予測しています。つまり、2020年の政府目標である8兆円は、現状では厳しい可能性が高いですね」

 好調に見える旅行業界だが、不安要素もあるようだ。

 さらに別の経営アナリストは、こう指摘する。

「GW期間のツアーが軒並み売れているといっても、それは一部の人たちの話です。大多数の非正規雇用や日雇い労働者の人たちにとって、10連休は収入減につながってしまいますからね」

 非正規の従業員は2017年で2036万人。被雇用者に占める非正規の割合は約37%で、依然、高止まりしたままである。
「この数字は2019年も改善するとは思えません。この人たちに長期休みのしわ寄せがどういくのか。収入減なら、その後の消費全般の落ち込みにもつながりますからね」(前出・経済アナリスト)

 その結果は半年後には出るだろう。果たして、長期の休暇は日本経済にとって吉と出るか、凶と出るのか。今はまだ誰も明確に読めていない。

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