「バイオガス発電」にかける『福島原発』周辺農家の祈り

東京電力福島第一原発から7キロしか離れていない富岡町では、昨年末から大きな筒状の発酵槽に砕いたソルガム(飼料用の作物)の投入が始まっている。原理は、発酵したソルガムから大量のメタンガスが風船状のタンクに溜めてガスエンジンで燃やし、発電させるというもの。この「バイオガス発電」の実証試験は始まったばかりだ。

「富岡町では、かつては米作りが盛んだったが、放射能除染のために農地の表面がごっそり削り取られた。現在はセシウムも基準値以下になっているが、風評被害を懸念して農業の再開は進んでいません」(地元記者)

 食用の作物に不安が残るのであれば、農地を別の用途で再生できないか。そこに目をつけたのが、ソルガム(コーリャン)を栽培し、発電事業につなげることだった。

 「発電は、富岡町で大規模ソーラー発電を管理する民間企業と、飯舘村で太陽光発電に取り組む飯舘電力が担当。ソルガムは、富岡町や飯舘村の農家に栽培を委託し、秋に約40トンを収穫しています。ソルガムで発電できることが証明できれば、農家は利益を得ることができる。地元では期待が膨らんでいます」(同)

 大きな筒状の「バイオガス発電プラント」は富岡町の農地脇に設置された。発酵槽に砕いたソルガムの投入が始まっている。

 ノンフィクションライターの窪田順生氏が言う。
「チェルノブイリでは、テーマパークを造り、世界中から観光客を呼んで原発事故の悲惨さを訴えた。富岡町は発電を行い、避難した人に帰還をアピールしようというんですかねぇ。発電がうまくいき、農地がソルガムでいっぱいになったとしても、今度は物凄い量の汚染された灰が出る。燃やしたからといって、放射性物質が消えるわけではない。その灰にも残るわけで、原発事故後、各自治体が汚染土を押し付けあったのを思い出しますよ」

 事故から8年近く経過した今も農業はほとんど復興していない。試験が成功すれば農地再生の足掛かりになることは間違いないが、プロジェクトの背景にはまだまだ被災地の農業が直面する厳しい現状がある。

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