神戸山口組 山健組がひた隠す「血の報復作戦」

神戸山口組 山健組がひた隠す「血の報復作戦」

(提供:週刊実話)

神戸山口組(井上邦雄組長)の中核組織である五代目山健組(兵庫神戸)・中田浩司組長は、上半期最後となる7月の定例会で「たとえ一人になろうとも山健組に残る」と、自身の心情を山健組全直参に向けて語った。これにより、いっそう団結力を増したとみられ、緊張が高まった。

 與則和若頭が、六代目山口組(司忍組長)・竹内照明若頭補佐率いる三代目弘道会(愛知)系組員によって刺された事件から約3カ月。一部でヒットマン潜伏説や、山健組組員が射撃訓練のため海外を行き来しているなどとも囁かれる中、実際には何が起きているのか。

 「報復のタイミング、矛先、場所…あらゆる可能性が考えられるが、10月中旬といわれる髙山清司若頭の出所が“ターニングポイント”になるだろう。髙山若頭が現場復帰すると情勢が大きく動くとも予想されており、その前後では報復による影響も違ってくるはずだ」(業界ジャーナリスト)

 業界内では報復の対象として、與若頭刺傷事件の実行犯を出した弘道会傘下野内組トップである野内正博組長の名前が挙がった。

 「確かに野内組長は山口組分裂後、活発に動いているが、弘道会には猛者が揃っているため、一時的に六代目側の動きを止めることにはなっても、すぐに態勢を立て直すはずだ。山健組がそれも見越しているならば、組織に規制が掛かる『特定抗争指定』も覚悟の上で、長期的な対立に持ち込むのではないか」(同)

 ならば、現在は長期戦に向けて戦闘態勢を整えているとも考えられる。その根拠の一つとして囁かれるのが、山健組の組織体制だ。

 「昨年5月に中田五代目体制になって以降、新直参の昇格人事はあったが、空席のままの主要ポストがあるんや。與若頭が被害に遭った事件への報復次第で、人事が動くのかもしれん」(関西の組織関係者)

 それは同時に、髙山若頭の復帰後に事が起こる可能性も秘めているという。
「“指揮官”の復帰で情勢がどう動くのか、まだ予測がつかん状態や。今、反撃に打って出るんやなく、それを見極めてからでも遅くはないんやないか。もしかしたら、神戸山口組全体としての報復作戦が練られとるのかもしれん。せやったら、大掛かりなものになるはずや」(同)

 神戸山口組は髙山若頭の不在中を狙って発足されたといわれ、「敵は弘道会」とする方針も示された。そのため、“キーマン”である髙山若頭が戻るのを待って、反撃を開始するという見方もされているのだ。

 「六代目山口組のナンバー2で、出身母体の弘道会にも絶大な影響力を持つ人物なのだから、そもそも離脱自体が、髙山若頭の復帰までを見通した上での作戦だったように思える。神戸山口組を結成することで反対勢力を明確にし、さらなる体制固めによって、対弘道会への姿勢を強めている印象だ。今後、髙山若頭と直接対峙するつもりなのかもしれない」(他団体関係者)

 いずれにしろ、分裂後、神戸山口組からは池田組(池田孝志組長=岡山)の髙木昇若頭ら複数名の死者が出ており、直近では與若頭に危害が加えられたため、反撃は必然とみられる。

★再び“襲撃チーム”を結成

 また、任侠山口組(織田絆誠組長)を狙い、警備組員を射殺した山健組傘下所属の黒木(本名・菱川)龍己組員が依然、逃亡中であることにも不気味さが感じられるという。

 黒木組員の知人女性が逃走の手助けをしたとして兵庫県警に逮捕されたこともあったが、その後に釈放されており、県警が有力な手掛かりを掴めなかったことがうかがえた。

 「事件が起きたのは一昨年9月やったから、もうすぐ逃亡から約2年が経つ。その間、神戸や淡路島、和歌山県に潜伏しとるいう話も浮上したが、実態は確認されとらん。黒木組員は指名手配が掛かって世間にも顔がさらされたし、出歩くこともままならんはずや。部屋住みの身分やったから逃走資金かて、とうに尽きとると思うで。どないしとるんか疑問やけど、見つからんいうことは今も逃げとるいうことやろ」(地元関係者)

 さらに、事件当時の様子を捉えた防犯カメラには、もう一人、顔を隠して小型マシンガンのような物を持った人物が映っていた。

 「その人物に関して、個人名はおろか所属する組織名すら判明しとらん。せやから、もう一度、“襲撃チーム”を結成することも不可能やないやろ。黒木組員たちが出頭せずに逃げとる背景には、山健組としての“懐刀”になる覚悟があるからとも考えられるで」(同)

 沈黙を続ける山健組。その裏では、“血の報復作戦”決行までのカウントダウンが始まっているようだ。

 一方、対立に危機感を示す当局は、夏季休暇を間近に控えた六代目側と神戸側双方の本部に踏み込み、家宅捜索を実施。大阪府警に至っては、またしても手荒い捜索を繰り広げたという。

 六代目山口組総本部には、生野靖道幹部(四代目石井一家総長=大分)を強要未遂容疑で逮捕した大分県警が7月22日、約30人態勢で詰め掛けた。直参の北島虎・二代目杉組組長(愛知)と平松大睦・二代目源清田会会長(新潟)が応対に出て、40分ほどで終了。

 この4日前となる18日、兵庫県警が神戸側・古川恵一幹部(兵庫尼崎)への傷害容疑で三木一郎直参を逮捕した事件に関連し、弘道会本部への捜索を行っていた。さらに同日、大阪府警は神戸山口組の本部に乗り込んだのである。

 「弘道会の野内組に所属する西川純史・二代目北村組組長の自宅に軽保冷車が特攻した事件で、太田興業(太田守正組長=大阪浪速)の最高幹部が建造物損壊などの容疑で逮捕されとる。その件でのガサやったんやが、府警が強引に入ろうとして揉み合いになったらしいんや」(ベテラン記者)

 大阪府警は過激な手法で知られており、以前、山健組本部に詰め掛けた際には、怒声を上げながら窓ガラスを割り、玄関前の物を放り出した末、直参に馬乗りになるという“凶行”が明るみになった。

 「與若頭に対する刺傷事件後、大阪での返しも噂されとったから、府警としては今回、事を起こすないう警告の意味も込めて、神戸山口組本部を急襲したのかもしれん。せやけど、無茶しすぎやで」(同)

 その大阪府警には、ある疑惑が浮上していた。組員の脱退を妨害したなどとして、傷害や組織犯罪処罰法違反(組織的監禁)などの罪に問われている六代目山口組直参の新井錠士・二代目章友会会長(大阪北)の公判でのことだった。

 7月9日、大阪地裁で開かれた証人尋問には、警察医が出廷。新井会長に殴られたと主張する元組員のケガの状態について、スマホで撮影された写真を見て回答書を作成したという。ところが、弁護側が元組員の供述調書に添付された写真を示すと、警察医は「私が見せられた写真ではない」と証言。「この写真では皮下出血(黒ずんだ部分)の範囲が狭まっているので、これを示されたなら回答書には、もっと範囲を狭く診断した」と述べた。

 弁護側は、回答書作成に当たって警察官が警察医に見せた写真は、ケガを強調するため、故意に色合いや明るさを調整した可能性があることを指摘したのだ。

 「事実ならば、証拠そのものとして疑わしくなるため、裁判の流れが変わるかもしれん」(在阪記者)

 山口組の分裂問題も予測が付かない状況となり、抗争事件が起きやすいとされる“魔の8月”を迎えようとしている――。

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