〈企業・経済深層レポート〉 市場規模が過去最高を記録 音楽ライブ業界が盛況の理由

〈企業・経済深層レポート〉 市場規模が過去最高を記録 音楽ライブ業界が盛況の理由

(提供:週刊実話)

音楽ライブや舞台など、演者と観客が同じ空間で生の体験を共有できる「ライブ・エンタテインメント」が今、活況を呈している。ぴあ総研が2019年に発表した国内のライブ・エンタテインメント市場規模は、2018年度で前年比10・4%増の5685億円で過去最高を記録した。この数字は、音楽コンサートとステージでのパフォーマンスイベントのチケット販売額の合計で、調査開始の2000年から比較すると、市場が約2倍に拡大している。

 好調を支える一番の要因は、音楽ライブ業界が急激に伸びていることだ。音楽評論家が解説する。
「ぴあ総研の調査では2018年の音楽ライブ市場規模は、前年比8.9%増の3776億円。2018年に伸びた要因は安室奈美恵の引退公演ツアーが全国各地で開かれたことや、デビュー30周年を迎えたB’zに加え、国内有名アーティストのライブ公演の増加が音楽市場を牽引したということです」

 音楽ライブ情報サービス「Live Fans」発表の’18年の年間観客動員ランキングをみても、音楽ライブ市場が活発なのは明白だ。

 同ランキングによると、1位は東方神起で約127万人、2位はB’zで約108万人、3位は嵐で約89万人、4位は安室奈美恵で約85万人、5位はKis−My−Ftで約80万人、6位は関ジャニ∞で約74万人、7位はAAAで約65万人、8位は福山雅治で63万人、9位はHey!Say!JUMPで約61万人、10位はEXILEで約60万人となる。

 とある調査によれば、人気が再燃しているプロレスのトップ団体である新日本プロレスの’18年観客総動員数が、約41万人。つまり、10位でも新日本プロレスを超える動員数なのだ。
「嵐が地方都市でコンサートなどをすればホテルというホテルは満杯。ほかのビジネスマンや観光客はホテルを確保できない現象がここ数年起きているほどです。当然、チケット争奪戦もし烈を極めています」(観光業関係者)

 CDの売上げがピーク時から半減する中で、なぜ音楽ライブは伸びているのか。エンターテインメント事業関係者が分析する。
「音楽ライブに参加しているのは、1995年以降に生まれた20代前半の世代です。この世代が、音楽を楽しむのに、従来、日本人が受け身の観客の立場だったところから大きく変化して、参加型を好むようになり、ライブ会場に足を運ぶようになりました」

 この世代が参加型を好むように変化したのはなぜなのか。
「一つはインスタ映えです。SNSに投稿することも踏まえ、ライブに行く人が増えたのです。また、AKB48が普及させた『握手会』によって、アイドルと身近に接するようになり、業界が作り上げた参加型ライブが定着したのです」(音楽業界関係者)

 日本最大級のチケット販売サイトを運営する「ぴあ株式会社」は、2020年の完成を目指して100億円を投じた1万人収容の日本屈指の音楽アリーナを神奈川県横浜市の「みなとみらい地区」に建設中だ。

 このぴあの動きに、音楽業界関係者は「ぴあは音楽ライブが、まだまだ大きく飛躍する市場と読んでいるようです」と分析する。

 このように好調に見える音楽ライブ市場だが、不安要素はある。日韓の政治的対立が、業界に暗い影を落としつつあるという。
「今の音楽業界を活気づかせている一つの要因に、韓国K−popがあります。年間観客動員ランキング1位の東方神起や、今や世界的アーティストとなったBTS、さらにはTWICE、BLACKPINKなどは日本の高校生から20代前半の若い世代を中心に支持を得ています。実際、BTSは今年の日本ツアーで21万人を動員したほどですが、こうした韓国音楽ライブが、今後、日韓対立がエスカレートしたら、日本国内の音楽ライブにまで影を落としかねないと気になります」(音楽評論家)

 不安要素はこれだけではない。
「音楽ライブが好調といっても、今、人気アーティストたちはジャニーズ系やB’zなど、いずれも90年代から00年代前半に圧倒的にCDが売れてきた大物歌手やグループです。ここ数年間はミリオンセラーという大ヒットが生まれにくくなっていますし、大物歌手がなかなか誕生していません」(同)

 安室奈美恵は2018年に引退、今年1月には、2020年いっぱいで嵐が活動休止することを公表している。
「その穴埋めとする新スターをどう生み出すか。そして、それをどうライブにつなげるかが、業界の今後の課題となるでしょう」(同)

 音楽ライブ市場がさらに伸びるカギは、大物アーティストが生まれるかにかかっているようだ。

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