世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第341回 憲政史上、最も少子化を推進した首相

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第341回 憲政史上、最も少子化を推進した首相

(提供:週刊実話)

日本の出生数が急減している。厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると、2019年1月〜7月の出生数は、前年同期比5.9%減(!)の51万8590人。2019年の出生数は、90万人を切る可能性が濃厚だ。

 誤解している読者が多いだろうが、日本の少子化の主因は、「結婚した夫婦が産む子供の数が減っている」ことではない。

 国勢調査(直近は2015年)から見た有配偶出生率は、1990年に66で底を打ち、2015年は75・9と回復傾向にある。有配偶出生率は、有配偶女子人口1000人当たりの出生数で計算される。

 また、結婚持続期間2015〜2019年初婚同士の夫婦が産んだ子供の数「完結出生児数」は直近で1.94。前回調査から「微減」というところだ。

 それにも関わらず、少子化が終わらない。理由は簡単。未婚率が増加しているためである。
 1990年までは5%を切っていた50歳時の未婚割合は、直近が男性23・37%、女性14.06%。現在も上昇傾向が続いている。

 ちなみに、未婚者(18歳〜34歳)の結婚意思「いずれ結婚するつもり」は、男性が85・7、女性が89.3。実は、日本の若い世代の結婚願望は、他の先進国と比べても高い。

 それにも関わらず、我が国では婚姻率が上がらず、少子化が続いている。日本は少子化というよりは、未婚化という問題を抱えているのだ。

 出生数のグラフを見ると、特に第二次安倍政権が発足して以降の下落ペースに慄然とせざるを得ない。出生数の対前年比率の平均をとると、小泉内閣(2001年〜2006年)が▲1.4%、民主党政権(2010年〜2012年)が▲1.03%、そして安倍政権(2013年〜2018年)が▲1.95%。

 さらに、2019年は対前年比の落ち込みが凄まじい数字になりそうで、安倍総理大臣は、文句なしで「日本の憲政史上、最も少子化を推進した内閣総理大臣」である。

 何しろ、安倍内閣は「日本の憲政史上、最も実質賃金を引き下げた内閣」だ。未婚化と少子化が進んで当然である。今の若者にとって、結婚は“贅沢品”になってしまっている。

 挙句の果てに「すべての女性が輝く社会づくり」などと、中国共産党さながらのスローガンを掲げ、女性を「低賃金労働者」として労働市場に送り込み、人手不足による賃金上昇を食い止めようとしている。

 別に、主婦として家事や育児に注力したいという女性がいても構わないだろう。それぞれの価値観を大事にすればいいだけの話だが、安倍政権は男性側の実質賃金を引き下げ、女性を低賃金労働者として労働市場に投入。結果的に「就業者が増えた」と自画自賛をしているわけだから、少子化に歯止めが利かなくなるのも無理もない。

 さらには、男性の実質賃金を低迷させることで「未婚率」を引き上げ、未婚割合が急増し、出生数が減る。政権が変わったとしても、安倍政権的なグローバリズム路線が続く限り、我が国の少子化は絶対に終わらない。

 ところで、少子化というか「未婚化」には、実質賃金低下に加えて、もう一つ、重大な要因がある。それは、東京一極集中だ。

 直近データである2017年の都道府県別合計特殊出生率を見ると、ワーストワンが例によって東京都(1,21)。しかも、神奈川県(1.34)、千葉県(1.34)、埼玉県(1.36)と、「東京圏」を構成する4都県が、すべてワースト10入りしている。

 なぜ、東京圏の出生率が低いのか。もちろん、未婚率が高いためである。特に、東京都の女性の生涯未婚率は19.2%と、全国ナンバーワンだ。日本の女性は、東京都で暮らすと結婚しないのである。結果、東京都の出生率を全国最低に引き下げている。

 この「問題の東京都」を中心とする東京圏に、今も全国各地から人口が流入し続けている。2018年、東京圏には13万5600人が流入。2014年以降、東京圏への人口流入は、毎年10万人を上回っている。

 なぜ、東京圏への人口流入が終わらないのか。これまた理由は簡単で、政府が公共投資を東京圏に「選択と集中」しているためである。地域別の公共投資出来高を見ると、2013年以降、東京圏への一極集中が加速している。他の地域の公共投資を「減らし」、東京圏のみを増やし続けているのである(東日本大震災の復興需要で、東北の公共投資も増えていたが、’15年に頭打ちとなり、その後は減少している)。

 つまり、安倍政権は明らかに「政策的」に東京圏に人口を集中させ、出生率が高い地方を疲弊させているのだ。ただでさえ、実質賃金の落ち込みで未婚率が上昇し、出生数が減少している状況で、「出生率が最低の地域(=東京圏)」への人口集中を政策的に促進しているのである。出生数が大幅な下落になっても、至極当然である。

 日本の少子化問題を解決する方法は明らかで、国民の実質賃金を引き上げ、地方を中心にインフラ整備を進め、東京一極集中を解消するのだ。ただ、それだけでいい。

 ところが、現実の安倍政権は緊縮財政に縛られ、国民の実質賃金上昇には見向きもせず、それどころか女性、高齢者を強引に労働市場に呼び込み、各種の労働規制を緩和し、挙句の果てに移民受け入れである。インフラ整備も東京圏への集中を続け、地方は衰退する。

 日本の少子化問題の根底には、安倍政権のグローバリズム、そして緊縮財政があるのだ。この事実を国民が共有し、政策を転換しない限り、日本人の数は減る一方だ。とりあえず、安倍晋三内閣総理大臣が「憲政史上、最も少子化を推進した首相」であるという事実を広めて欲しい。

********************************************
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

関連記事(外部サイト)