〈企業・経済深層レポート〉 高齢者や女性から大好評 急成長するプロテイン市場

〈企業・経済深層レポート〉 高齢者や女性から大好評 急成長するプロテイン市場

(提供:週刊実話)

筋肉増強手段のために飲む印象の強い「プロテイン」市場が活況だ。プロテインのトップブランド「ザバス」を展開する株式会社明治によると、プロテイン全体の市場規模は、’17年で360億円、’18年は前年比13.9%増の411億4300万円、’19年は同比16.7%増の480億円と2013年以降、毎年2ケタ増で拡大している。

 プロテイン市場が急成長し始めた要因を業界関係者はこう分析する。
「過去のプロテインの利用者は、ボディービルダーやプロのアスリートなどが主で、今までは“筋肉増強”という目的のために利用されることがほとんどした。最近は“健康維持”という面から、幅広い層が利用するようになっています」

 例えば、高齢者だ。

 厚労省の『日本人の食事摂取基準(’15年版)』によると、高齢化社会到来とともにタンパク質不足で筋肉量が極端に減少する「サルコペニア」に陥る高齢者が増えると予想。その結果、人体機能低下、いわゆる寝たきりや要介護者の増加危機が高まることが懸念されている。
「サルコペニアを予防するには、一般成人(体重60キロ)の場合、1日に50〜60グラムのタンパク質が必要ですが、今の高齢者の食事だけでは最適量には2割ほど不足しています」(医療関係者)

 そこで注目されたのがプロテインだった。
「最近は医師や栄養士が高齢者に『タンパク質補助に、うってつけはプロテイン』とお勧めするほどです」(同)

 新たにプロテインを使用するのは高齢者だけではない。女性の間でもプロテイン使用者が増えているという。
「みずみずしい肌の潤い、髪の毛のつやを保つためには、タンパク質は不可欠。しかし、タンパク質を食事のみで摂取すると、多量のカロリーも一緒に摂取してしまいます。それを避けるために、女性でもプロテイン人気が高まったのです」(管理栄養士)

 女性人気が高まったことを象徴するように、最近のプロテイン市場にも変化が現れている。そもそもプロテインは大きく、乳由来のホエイプロテインと、大豆由来のソイプロテインに大別される。

「日本国内で売れているプロテインはホエイプロテインです。ソイプロテインに比べ、匂いや舌触りがよく、飲みやいのが特徴です」(同)

 しかし、女性が注目するのはソイプロテインだ。
「ソイプロテインはホエイプロテインよりも腹持ちがよく、ダイエット効果も期待できます。気になる匂い、舌触りも格段に緩和され、売上げがジワジワ上がっています。今後はソイプロテインが主流となるかもしれませんね」(プロテインメーカー関係者)

 こいった高齢者や女性の利用者が増えたことで、現在のプロテイン市場は活況を呈している。

 また、市場が伸びている要因はこれだけではない。前出のプロテイン製造メーカー関係者は「プロテインが手に取りやすくなった」と分析する。

「大容量の粉末タイプだけでなく、ゼリー、バー、飲料などといったタイプのプロテインが増えました。こういったタイプは粉末タイプのように摂取するまでの手間暇が掛からないので、手に取りやすいのです」

 タイプが増えたことで、プロテインの販路も拡大している。
「粉末タイプは、スポーツショップがメインの売り場でした。それが手に取りやすくなったことで販路は広がっており、特に飲料系のプロテインは、食品スーパーやコンビニエンスストアにも並ぶようになりました」(同)

 身近な存在となったプロテイン。市場は、今後も急拡大する見込みだ。
「米シンクタンクによれば、プロテイン市場が6000億円の米国でも、これから15年間は伸びると予測しています。日本は米国の10分の1以下の規模ではありますが、’65年には4人に1人が75歳以上の超高齢化社会が到来します。サルコペニアはまだまだ一般認知度は低いですが、高齢化が進むほどに認知度も高くなり、自分自身の症状の程度や栄養摂取状況を理解し、プロテインでタンパク質を補おうとする人も多くなるでしょう」(経営コンサルタント)

 国内市場のトップを走る明治は、今年、180億円を投じて岡山県に新工場を稼働させる。市場の伸びを予測した上での動きだ。

 業界内でも拡大が見込まれているプロテイン市場だが、懸念の声もある。
「プロテインでタンパク質を一度に取りすぎると、腎臓などに負担がかかるので要注意です。使用前に栄養士や医師などによく相談してから摂取することをお勧めします」(前出・医療関係者)

 手軽になっただけに、使用法には要注意だ。

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