神戸山口組 清崎幹部が刺傷 犯行に秘められた六代目山口組の“警告”

神戸山口組 清崎幹部が刺傷 犯行に秘められた六代目山口組の“警告”

(提供:週刊実話)

六代目山口組(司忍組長)・髙山清司若頭の出所から、ちょうど1カ月経った11月18日、神戸山口組(井上邦雄組長)の直系組長が襲撃される事件が起きた。被害に遭ったのは清崎達也幹部(四代目大門会会長=熊本)で、命に別状はなかったが、犯行には“警告”の意味が込められているとみられ、両山口組の間に漂う不穏さが増したのである。

 事件発生の当日、清崎幹部は自身の大門会本部に滞在していた。熊本県が誇る名城・熊本城から約2キロの距離にあり、周辺には住宅や飲食店が建ち並ぶ。本部は片側1車線の通りに面しているため、ビル全体が離れた場所からでも確認できる立地にあった。午前8時50分ごろ、そこへ作業着姿の2人組が訪れ、インターホンを押したという。

 「清崎幹部がインターホン越しに応対すると、『工事の件で来ました』などと答えたらしい。周辺でそういった案件があったのか、清崎幹部も不審に思うことなく玄関ドアを開けたようだ。その瞬間、犯人は包丁で切り付けた。本人が出てくることを予想していたのか、誰でもいいから応対に出た人間に危害を加えようとしたのか定かではないが、計画的な犯行であるのは間違いない」(他団体幹部)

 刃物を所持していた点や、怪しまれないように工事業者を装った点などからは、周到な計画が練られていたことがうかがえる。しかも、2人組は切り付けた直後に逃走し、大門会本部から約1キロ離れた熊本中央警察署に出頭したのである。

 「清崎幹部は左腕にケガを負ったが、縫う程度の傷で救急車も呼ばなかったのだろう。事件が発覚したのは“自首”によるもので、犯行を知らしめる必要があったと思われる」(同)

 なぜ、わざわざ出頭して犯行を明らかにしたのか。その理由は、犯人らの素性が自ずと物語っていたのだ。

 「出頭したのは、六代目山口組・青山千尋舎弟頭率いる二代目伊豆組(福岡)系組幹部と組員だった。県警は殺人未遂事件として事情を聞き、逮捕状を請求したそうだ」(九州の組織関係者)

 伊豆組の本拠地とは県を跨ぐが、九州に本拠を置く神戸山口組直参は熊本の清崎幹部のみだった。しかも、清崎幹部は発足メンバーで組長秘書を務めていた時期もあり、動機は個人的なものではなく、山口組分裂に関わるものとみられた。

 「秘書の頃は常に井上組長のそばにいて、熊本よりも井上組長のいる兵庫県神戸市に滞在していることのほうが多かった。だが、今は頻度が減り、犯人たちも熊本にいることを知っていたのかもしれない」(同)

 神戸山口組の直参が直接的な被害を受けたのは、古川恵一幹部(兵庫尼崎)に次いで2人目だった。昨年3月7日、六代目山口組・十一代目平井一家(薄葉政嘉総裁=愛知)系組幹部らによって、古川幹部が自宅近くで“闇討ち”され、全治1カ月のケガを負った。

 その後、任侠山口組(織田絆誠組長)も含めた対立とみられる事件が散発的に発生。今年4月18日には五代目山健組(中田浩司組長=兵庫神戸)の與則和若頭が三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)系組員に刺され、その報復とみられる弘道会“神戸拠点”での組員銃撃事件が起きた。さらに、髙山若頭の出所直前となる10月10日には、山健組本部近くの路上で組員2名が、週刊誌カメラマンを装った弘道会系組幹部によって射殺されたのである。

★特定抗争指定より前に…

 與若頭刺傷事件に端を発した“報復の連鎖”が起き、その最中に髙山若頭が出所。六代目山口組が出所後、初めて出した通達の中には「敵対組織からの組員引き抜きを禁じる」といった内容もあり、今になって、それが“宣戦布告”だったという見方もされているのだ。

 「当初は、切り崩しによって火種が増えることを避けるためとも思われた。しかし、今回の清崎幹部への事件を受けて、実は本格的な武力行使を開始するため、これ以上の引き抜きは必要ないと判断していた可能性もある。しかも、ターゲットを端から直参に絞っていたとしたら、今後、抗争拡大は免れないだろう」(業界ジャーナリスト)

 九州では、宮崎県で昨年6月から六代目側・四代目石井一家(生野靖道総長=大分)と神戸側・池田組(池田孝志組長=岡山)の対立事件が断続的に起きており、11月7日には池田組系組長が襲撃され、その10日後となる17日、今度は石井一家系組長らが池田組系組員によって襲われた。

 「清崎幹部の事件で神戸山口組側が報復に動くとしたら、次は福岡でも事件が起きかねない。互いに攻撃を仕掛ける“動機”がある以上、さらに血が流れることさえ考えられるだろう。しかし、神戸で報復の連鎖が起き、九州でも始まったら収拾がつかなくなる。ましてや、事務所の使用制限はもちろん、組員5人以上が集まることで逮捕も可能となるなど、厳しい規制が掛けられる『特定抗争指定』の可能性が囁かれている。犯行に及ぶリスクは以前よりも確実に増した」(同)

 ただ、六代目山口組総本部や神戸山口組本部などに使用制限の仮命令が出た時点で、すでに両組織とも特定抗争指定を意識しているとの意見もある。

 「仮命令が出たことで、本命令も出るのは予想されとったはずや。分裂が終わるまで使用制限が続くやろうし、次に事件が起きれば特定抗争指定の可能性が高まるのも承知の上やろ。せやから、身動きが取れなくなる前に『やってまえ』となるんやないか。小競り合いレベルやなく、六代目側は分裂終結に近づくアクションを、神戸側は存続を懸けた攻勢に打って出るかもしれん」(関西の組織関係者)

 前号でも触れたが、11月11日には神戸山口組が神戸市内で食事会を開催。極秘で開かれ、直系組長ですら一部にしか場所が知らされていなかったという。

 「実質の定例会とみられ、井上組長はもちろん、中田若頭代行も2カ月ぶりに出席しとったようや。通常ならば、ものの数分で終わるんやが、この日は午後2時すぎから約1時間以上に及んだとも聞くで。通達は、神戸山口組の行事に関することや年末年始休みの日程なんかやったようやが、それだけで長時間も顔を合わせとるとは思えんからな。より結束を固め、対六代目山口組への戦略も練られたんやないか。せやから、極秘で集まったんやろ」(同)

 髙山若頭の出所によって、分裂抗争は新局面を迎えた。それは、勝敗を分ける最終戦となるのか――。

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