〈企業・経済深層レポート〉 スマホの躍進、消費税増税… 逆風が吹き荒れる 漂う不安要素

〈企業・経済深層レポート〉 スマホの躍進、消費税増税… 逆風が吹き荒れる 漂う不安要素

(提供:週刊実話)

ゲームセンターの経営が軒並み厳しい状況に追い込まれている。

 今年1月にゲームセンター「VIVACE」を運営していたエッグボックス社が7億円の負債で倒産したのを皮切りに、9月まででゲームセンター関係企業の倒産件数は11件。これは過去最多だった’15年の14件に迫る勢いだ。

 さらに市場規模の減少も明白だ。日本生産性本部「レジャー白書」によれば、2018年のゲームセンターの市場規模は4550億円。ピークだった’07年度の6780億円に比べると、2000億円ほど減少している。店舗数も’07年で8652店だったの対し、’18年になると4193店にまで激減。11年間で、半数以上が閉店している。

 かつて隆盛を誇ったゲームセンターが、なぜ衰退してしまったのか。

 最新動向に触れる前に、ゲームセンターの歴史を紐解いてみよう。

 ゲームセンターという言葉が初めて使われたのは1960年代だという。
「ボウリング場や映画館などの他産業に付随する併設型ゲームセンターが登場し、マスメディアで初めてゲームセンターと呼称されたことが始まりとされています」(アミューズメント業界関係者)

 70年代後半から80年代になると『スペースインベーダー』(タイトー)が社会現象になる大ブームとなり、ゲームセンターが乱立するようになる。
「80年代半ばになると任天堂の家庭用ゲーム機器『ファミリーコンピュータ』が爆発的にヒット。『スペースインベーダー』がファミコンに移植されたことによって、ゲームセンターは岐路に立たされました」(同)

 しかし、業界はゲームセンターでしかプレイできないアーケードゲーム(業務用ゲーム機)を投入し危機を乗り越えた。
「中でも’91年に登場した『ストリートファイター2』(カプコン)に代表される対戦型格闘ゲームは、ゲームセンターの売り上げを大きく押し上げました」(同)

 2000年代に入ると、音楽ゲームや通信対戦ゲームがヒットし、2007年には市場規模が6780億円に達した。

 しかし、その後は市場規模の減少が続くことになる。業界に一体何があったのか。
「低迷のきっかけは、家庭用ゲームの進化です。これまでは、性能面でアーケードゲームにかなわなかった家庭用ゲームですが、半導体の技術革新や量産体制の構築などが一気に進展しました。その結果、家庭用とアーケードにおける技術的な差は小さくなり、家庭でもゲームセンターと同じようなゲームができるようになったのです」(経営コンサルタント)

 さらに、インターネットとスマートフォン(以下、スマホ)の普及がゲームセンターを苦しめる。
「ゲーム市場自体もスマホがメインになり、ちょっとしたゲームならスマホで遊べます。UFOキャッチャーもスマホでプレイできますし、もはやゲームセンターに出向いてまで遊ぶ必要性がほとんどなくなってしまいました」(同)

 客足が遠のく上に、コストも増加する。
「近年のアーケードゲームは、家庭用ゲームやスマホに負けないように、ネットワーク通信主体のものが主流になりつつあります。従来の導入費用や電気代に加え、通信費などの固定費が加わりました」(同)

 スマホや家庭用ゲームではできない性能を持っているため、新型ゲーム機は価格も上がっているという。
「しかも、筐体が大きくて場所も取りますからね。導入をためらえば、ゲームセンターの魅力が減少するだけ。スマホと差別化するためには、積極的に導入するしかないのです」(ゲームセンター関係者)

 客離れが激しくコストが増加したゲームセンターは、市場が急激に縮小。後発のスマホゲーム市場は、わずか数年で1兆円を突破することになった。

 とどめを刺したのが消費税の増税だ。
「ゲームセンターは、利用者の利便性を高めるため、1プレイの料金を100円、つまりワンコインが定着しています。消費税が増税されたからといって、プレイ料金を“値上げ”するわけにもいかないのです」(前出・経営コンサルタント)

 ’14年の消費税増税時もプレイ料金に価格転嫁できていない。その結果、増税直後に倒産件数が急増した。
「業界も、プレイ料金を上げる試みを行ってはいますが、『ゲームは1プレイ100円』という“価値観”を崩せそうにありません。10月に増税されたことで、このビジネスモデルを保つのも限界ですが、打つ手がないのが現状です」(同)

 低迷するゲームセンターを救う手立ては、まだ見つかっていない。

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