北朝鮮 金正恩委員長“叔父2人”を帰国させたクーデター兆候

北朝鮮 金正恩委員長“叔父2人”を帰国させたクーデター兆候

(提供:週刊実話)

北朝鮮の金正恩党委員長(以下、正恩氏)が、いよいよ追い詰められてきた。11月15日、父である金正日総書記(以下、正日氏)の偉業だった金剛山観光の共同事業者である韓国に対して、「撤去措置を断行する」との最後通告を行った。これは、正日氏の業績を否定したとも取られかねない言動だ。
「正恩氏は、これから何十年も政権を担っていかなければなりません。しかし、国連の経済制裁、食糧問題など、国内は危機的状況です。トランプ大統領のように3回も首脳会談に付き合ってくれて、ミサイル開発や人権弾圧に目をつぶってくれる米国大統領が今後現れる可能性は限りなく低い。今、国内の諸問題を解決しなければ、北朝鮮再生に向けての大チャンスを逃すことになります。なので、正恩氏は先代の政策を堂々と批判することで自信を示し、国内の求心力を高めようとしているのです」(国際ジャーナリスト)

 しかも、正恩氏は孤独な独裁者だ。実兄の金正哲氏は音楽好きでエリック・クラプトンの大ファン。ギターの腕前は相当なものだが、政治には無関心だった。実妹の金与正宣伝扇動部第1副部長は、正恩氏の補佐をしているが、ヒロポン中毒の噂が根強い。
「正恩氏は叔父・張成沢元国防副委員長を処刑、異母兄の金正男氏を暗殺している。取り巻く親族関係者は、いずれも北朝鮮を動かすという意味ではアテになりません」(同)

 そんな折、正恩氏の叔父である金平日チェコ大使(以下、平日氏)と金光燮オーストリア大使(以下、光燮氏)が11月末に職務を終え、北朝鮮に帰国することが判明した。
「平日氏は’88年、旧ユーゴスラビアの大使として、正日氏に事実上国外に追放されました。以後ハンガリー、ブルガリア、フィンランド、ポーランド、そしてチェコと、祖国北朝鮮から遠い欧州各地を転々と駐在してきたのですが、今回で30年間続いた事実上の『島流し生活』が終了することになります」(北朝鮮に詳しい元大学教授)

 平日氏が島流しに遭ったのはなぜなのか。
「平日氏は、日成主席の2番目の妻である金聖愛との間に生まれています。日成主席の死の直後、正日氏と平日氏は後継争いを演じました。その結果、正日氏が勝利を手にして、後継を『争奪』することに成功。ただ、平日氏は、軍歴があったことから軍部に支持者が多数いた。権力を脅かしかねない存在だと疎まれていたのです」(同)

 しかも、平日氏の表情はもとより、手を後ろで組んで歩く姿や帽子をかぶった様が日成主席そっくりだったことが正日氏の反感を買う。
「ですから平日氏に対する警戒感は、強烈なものがあったのでしょう」(同)

 一方、光燮氏の妻・金慶真は、平日氏の実姉だ。平日氏の姉ということもあって、夫婦共々、北朝鮮からは遠い大使に置かれてしまった。

 そんな両大使が平壌に帰国することについて、さまざまな憶測が流れている。その1つが、北朝鮮軍の“クーデター”だ。
「現在の北朝鮮は、リゾート開発の工事に多くの軍人が駆り出されています。国防を疎かにし、屈辱的ともいえるリゾート建設の労働力としてコキ使われていることに、軍人たちの不満は爆発寸前なのです。正恩氏が権力基盤を強化し、軍からのクーデターを阻止するために、親族関係者の連帯が不可欠という判断が働いているのは間違いないでしょう」(同)

 とはいえ、正恩氏は2017年に金正男氏を暗殺し、次の標的は「金平日」という臆測が流れていた。これが本当だとすると不穏だ。平日氏と光燮氏が戻ってきたからには、権力基盤が強化される可能性もある。
「その憶測は間違いです。平日氏は自分が傍流であることをわきまえており、噂が立つような派手な遊びもしなければ、政治的な言動も一切しない。海外で頻繁にメディアに対し、北朝鮮批判のコメントを発信していた正男氏とは違います」(北朝鮮ウオッチャー)

 また、正日氏は後継を争奪したが、正恩氏は正日氏から「相続」している。
「つまり、平日氏は正日氏の政敵でしたが、正恩氏とは直接の因縁はありません。現状、正恩氏は平日氏をそんなに嫌っている様子はありません」(同)

 ただ、正恩氏は平日氏を信用したわけではない。実は最近、北朝鮮外交官の裏切りが相次いでいるのだ。
「例えば、太永浩元駐英北朝鮮公使は、’16年にロンドンから家族と共に韓国へ亡命し、北朝鮮の暴露本を出版した。イタリア北朝鮮大使館のチョ・ソンギル大使代理は、’18年11月に行方不明になっているが、韓国の情報機関によると、『イタリアを離れ、某所で身辺保護を受けている』ことが判明し、亡命の可能性があることを報じられています。正恩氏は、こうした裏切り行為を防止することも考えて呼び戻したのかもしれません」(前出・国際ジャーナリスト)

 さらに金正恩政権打倒を目指す組織「自由朝鮮」の活動が活発化していることの懸念もあるようだ。
「今年2月に、スペインのマドリードにある北朝鮮大使館に『自由朝鮮』が侵入し、暗号化された電文解読に使用するパソコンが盗まれました。同組織は秘かに、平日氏、光燮氏を勧誘対象としてきました。両大使を自由朝鮮に加えれば強力な力となるからです」(同)

 米国が両大使に接触していたという情報もある。
「そこで正恩氏は、米国の工作員の手が届かないうちに両大使を帰国させる方が無難と考えたのでしょう。クーデター警戒、裏切り防止、反体制派との接触を避けさせるというのが、叔父2人を帰国させた理由なのです」(同)

 とはいえ、正恩氏が必死なところを見ると、クーデターが起きる日は近いのかもしれない。

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