森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」★ヤフー・LINE統合の意味

11月13日夜、ヤフーを展開するZホールディングス(ZHD)とLINEが経営統合するとの情報が駆け巡った。実現すれば、情報サービス分野で楽天を抜き、国内トップに躍り出る。スマホ払いやモバイル通信など、事業が重なる分野もあるが、基本的にはヤフーが検索エンジン、LINEがSNSをメイン事業としており、統合は補完性が高い。統合すれば、日本で1億人が利用する統合情報サービスが誕生することになり、世界の巨大IT企業に対抗することも可能になる。

 株式市場も、統合を高く評価し、翌日、ZHDは17%、LINEは15%、それぞれ株価を上げた。そう考えると、今回の統合は快挙と言えそうだが、問題はいくつもある。一つは、統合のやり方だ。11月15日付の毎日新聞によると、ヤフー株の4割を保有するソフトバンクとLINE株の7割を保有するネイバーが、それぞれ50%ずつ出資する新たな持ち株会社を作り、新社がZHDの7割の株式を保有し、ヤフーとLINEは、ZHDの完全子会社となる予定だという。

 しかし、ヤフーの親会社であるZHDの連結売上高は9547億円、対するLINEは2071億円と、事業規模では圧倒的にヤフーのほうが大きい。それにも関わらず、統合後の新社の出資比率が5対5というのは、明らかにソフトバンクに不利ではないか。

 もしかすると、ソフトバンクは、統合を焦ったのかもしれない。ソフトバンクが発表した2019年9月期中間決算で営業損益が155億円の赤字と、15年ぶりの赤字転落をしたからだ。

 もう一つの問題は、LINEの親会社のネイバーが韓国企業だということ。いまの統合案でいけば、日本最大の情報サービス会社の経営権の半分が韓国に握られることになる。安全保障上の問題も当然、出てくるだろう。

 ただ、LINEが韓国の会社というイメージはない。社長は出澤剛氏で日本人だし、取締役8人中の5人が日本人だ。なぜそんなことになっているのかというと、元々LINEは、経営が行き詰まったライブドアをネイバーが買収して発足しているからだ。通信アプリのLINEの開発にも元ライブドア社員が深く関わっている。ライブドアは、堀江貴文氏が経営していた時代から優秀な人材を抱えており、技術力で高い評価を得ていた。その技術力がLINEに活かされているのだ。

 ライブドアの時価総額が一番高かったのは’04年1月で、9353億円だ。だが、堀江社長がニッポン放送の乗っ取りを計画し、それがとん挫すると株価は大幅に下落し、証券取引法違反で堀江社長が逮捕された’06年1月には、時価総額が986億円まで下落した。さらに’10年にライブドアホールディングスが中核事業をネイバーの日本法人に売却したときの価格は、わずか63億円だった。

 ネイバーは、ライブドアの買収で、すでに2000億円以上の儲けを出しているが、今後、ヤフーとの統合でさらに大きな儲けを出すことになるだろう。

 今さら言っても仕方がないが、もし堀江氏がニッポン放送を乗っ取って、フジテレビを支配しようなどと、余計なことを思い付かなければ、今頃、ライブドアは日本一の情報サービス業として、日本経済をけん引する存在になっていたはずだったのだ。

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