〈企業・経済深層レポート〉大手携帯電話会社との提携で動画配信サービスが群雄割拠

定額料金で映画やドラマを見ることができる「インターネット動画配信サービス」が好調だ。

 デジタルコンテンツ協会の調査によれば、2018年の動画配信の市場規模は推計2200億円。’23年には2950億円と、右肩上がりで成長することが予想されている。

「動画配信サービスの会員数は非公開としている業者がほとんどですが、’15年に日本でのサービスを開始した『Netflix(ネットフリックス)』は、わずか4年で約300万人まで会員数を増やしています」(映像業界関係者)

 会員数が伸びている中、業界内でのサバイバル競争が熾烈をきわめている。ネットフリックスなどの海外動画配信サービス業者は、邦画、洋画、海外ドラマなどを幅広く取りそろえるだけでなく、オリジナル作品の制作に力を入れ、同業他社との差別化を図る。

「ネットフリックスでは今年、米映画界巨匠・マーティン・スコセッシ監督がロバート・デニーロと22年ぶりにタッグを組んだオリジナル映画『アイリッシュマン』や、“AVの帝王”と呼ばれた村西とおる監督の半生を描いた『全裸監督』が話題を集めました。Amazonプライム・ビデオでも、ダウンタウン松本人志発案によるお笑いドキュメンタリー番組『ドキュメンタル』、リアル婚活サバイバル番組『バチェラー・ジャパン』といったオリジナル番組が人気です」(同)

 さらに12月2日、アップル社は「Apple TV+(プラス)」を月額600円でサービス開始し、見放題の9作品がすべてオリジナル。今後も、オリジナル作品が追加される予定だという。

 USEN系の「U−NEXT(ユーネクスト)」はアダルト系のコンテンツを充実させたり、フジテレビが運営する「FODプレミアム」は、ドラマ『ヤヌスの鏡』などのオリジナルコンテンツを制作して他社に対抗する。

 また、日本テレビグループの「Hulu(フールー)」は、ラグビーW杯のライブ配信をした。

「10月5日の日本対サモア戦がスポーツコンテンツのライブ配信で過去最高の視聴者数を記録しました。外資系の動画配信業者は、まだライブ配信が少ないので、新たな地平を切り開こうとしています」(同)

 このようにインターネット動画配信サービスが群雄割拠の様相を呈している中、その現状に大手携帯電話キャリアも目を付けた。

 11月26日、NTTドコモは携帯電話の料金プラン「ギガホ」と「ギガライト」を契約するヘビーユーザーに、年会費4900円で「Amazonプライム」が1年間無料で使える制度を発表した。
 Amazonプライムは、Amazonでの買い物時に早く配送される「お急ぎ便」など、買い物での優遇が受けられるだけでなく、一部の動画コンテンツ(約8000本)を無料で視聴できる非常にお得なサービスだ。
「NTTドコモはAmazonの他にも、欧州発のスポーツ動画配信サービス『DAZN(ダゾーン)』とも提携していて、ドコモ利用者は月額980円で同サービスを利用できます」(IT業界関係者)
 動画配信サービスと提携する大手携帯電話会社は、NTTドコモだけではない。
 KDDI(au)は今年9月から、ネットフリックスを視聴できる格安料金プランを提供し話題を呼んだ。ソフトバンクもデータ容量を消費することなくYouTubeやフールーなどの動画を楽しめる「動画SNS放題」というサービスを開始している。
 また、’20年から普及が始まるといわれている5G(第5世代移動通信システム)によって、スマートフォン(以下、スマホ)で動画配信サービスを利用する消費者がさらに増えそうだ。

「5Gでは、通信速度が現状の最大100倍になり、いままで動画のダウンロードに30秒以上かかっていたのが、たった3秒になります。また、スポーツ動画での選手の動きは、現状は若干の間があったり、遅延がありますが、それがほぼなくなります。さらに今までよりも消費電力が少なくなり、バッテリー負荷も軽くなるため、動画の長時間視聴も可能になります」(ITライター)

 つまり、通信速度やバッテリーなどの面で様々な短所があったスマホでの動画視聴が、5Gによってその問題がクリアできる可能性が高くなるということ。

「若年層はテレビを見るよりも、動画配信サービスを利用するケースが増えています。市場規模はまだ小さいかもしれませんが、テレビ局も無視できないほど大きなマーケットになる可能性は十分にあります」(同)

 将来的にプラットフォームになった動画配信サービス業者が、大きなイニシアチブを握ることになりそうだ。

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