米軍空母4隻「集団感染」北朝鮮へ経済制裁解除の動き

米軍空母4隻「集団感染」北朝鮮へ経済制裁解除の動き

(提供:週刊実話)

南シナ海や台湾など、アジア太平洋地域で作戦活動中の米海軍空母「セオドア・ルーズベルト」で新型コロナウイルス感染者が416人(9日時点)出るという集団感染が発生し、同艦が任務停止に追い込まれた。

 新型コロナの感染者は別の空母でも確認された。米政治専門誌『ポリティコ』によると、「ニミッツ」「ロナルド・レーガン」と「カール・ビンソン」でも出ているという。

「セオドア・ルーズベルトで新型コロナの集団感染が発生してしまった現在、東アジア方面海域に緊急出動可能な空母が見当たらなくなってしまいました。この事態を捉えて10日付の中国共産党機関紙・人民日報系の『環球時報』は、軍事専門家の分析として『ウイルス感染によって米海軍の全世界への展開能力はすでに深刻な打撃を受け、東シナ海、台湾海峡、南シナ海では対処困難に陥っている』とチャンス到来と言わんばかりの論調を展開しました。実際、今、中国陸海軍が台湾に攻撃を仕掛けたり、尖閣諸島を占領してしまっても、米海軍が効果的な反撃に出ることは不可能です」(軍事アナリスト)

 集団感染に加え、米海軍内部には亀裂が走っているという。

「実はセオドア・ルーズベルトの艦長だったブレット・クロージャー大佐は、日本に停泊していたダイアモンド・プリンセス号のように、艦内で感染者が蔓延してしまうことを恐れ、『全乗組員の生命を守るために可及的速やかに乗組員を汚染されている空母からグアムに上陸させるように(実際に隔離処置がとられた)』という要請を直接の指揮系統以外にも電子メールで拡散していました」(同)

 ところが、このメールが米国メディアによって公開されると米海軍当局は、クロージャー大佐の行為は「指揮系統を混乱させ、米海軍、米政府を辱める許しがたい行為である」として艦長解任を強行した。

「確かに軍事組織にとって、指揮系統は絶対に守らなければなりません。ただ、海軍作戦部長(海軍軍人の最高位)であるミッチェル・ギルディ海軍大将は、『現時点での艦長解任は性急すぎである。少なくとも海軍内における調査が完了してからクロージャー艦長の処分を下すべきである』と反対したのです」(米軍に詳しい国際ジャーナリスト)

 連邦議会議員や米国メディアからも「この解任人事を強行したトーマス・モドリー海軍長官代理の決断こそが問題である」という声が多数寄せられたという。

「これに対してモドリー海軍長官代理は、『いかなる事態においても指揮系統を乱すことは許されない』と反論しました。しかもその中で、クロージャー大佐を『頭がおかしい』や『世間知らず』と痛烈に批判したのです。これにセオドア・ルーズベルト乗組員が猛反発して、海軍内は大混乱になりました。モドリー氏は混乱させてしまった責任を問われ、辞任に追い込まれたというわけです」(同)

 空母セオドア・ルーズベルトの任務停止、海軍内部の亀裂……新型コロナで混乱している米国を北朝鮮は喜んでいる。

 北朝鮮は昨年から続く国連安保理による経済制裁で、統治力に直接つながる外貨と食料が決定的に不足していた。そこに新型コロナが重なり、大きな危機を迎えている。

「これまでなら国際社会に食料支援を求めるところなのですが、『感染者ゼロ』を誇示し『見事な正恩統治』を演出している手前、それもままならない。WHO(世界保健機構)やWFP(国連世界食糧計画)は北朝鮮への経済制裁解除を主張していますが、北朝鮮からの積極的要請がないために国際社会からの共感が得られていません。また、毎年春に北朝鮮を訪問して、新規の農業技術を伝えてきたアメリカ・フレンズ奉仕団(AFSC)も新型コロナ発生で3月中の訪朝計画をキャンセルしており、北朝鮮と外部との農業協力も完全に断絶された状態です」(北朝鮮ウオッチャー)

 この窮地に、空母集団感染によって一筋の光明が見え始めた。

 まず、北朝鮮が安全保障上、最大の脅威としている毎年春に実施される「米韓合同軍事演習」が中止されたのだ。
「北朝鮮は対抗策として相応の態勢をとらざるを得ない。ただでさえ疲弊している北朝鮮側に人的、経済的に大きな負担を強いることになりますが、今年は回避できそうです」(同)

 また、4月12日に北朝鮮で開かれた「最高人民会議」で正恩氏は、感染拡大が懸念される新型コロナについて、今までは強がっていたのに対し「感染の危険が短期間で解消されることは不可能」と危機感を表明したという。

「『住民の生命と安全を保護する国家的対策を徹底していく』ことを決定し、これまでの強がり一辺倒からの修正を余儀なくされていることをうかがわせている。空母集団感染によって弱っている米国を見て、方向転換したのでしょう」(同)

 一方、米トランプ政権は医療支援品を北朝鮮に対する制裁対象品目から解除する動きを見せている。

「3月下旬頃から中朝国境での人的交流の停止は続いているものの、中国からの物資搬入が再開されたという話も流れています。北朝鮮には、すでにロシアや中国、国際民間支援団体などから診断キットや防護服、消毒剤などが途切れることなく搬入されていると思われますが、トランプ政権の制裁緩和の動きを契機に、北朝鮮にとっては膠着する米国との関係の突破口を開けようとすることは十分にありえる話です。人道に関わる物資を中心に支援を得ることで、重くのしかかる経済制裁の緩和を狙おうということなのでしょう」(国際ジャーナリスト)

 米軍空母4隻の集団感染によって、北朝鮮の動きは活発になりそうだ。

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