テレクラマニア女性“死体遺棄事件”@京都市東山区

「ベッドの下に女性の死体があります」

 1997(平成9)年2月19日、京都市東山区にあるラブホテルの支配人から、こんな110番通報がかかってきた。死体はマットとスノコ板の下にできる床との空間に隠され、清掃員が部屋を清掃中、ベッドのマットが盛り上がっているのに気付き、支配人が調べて発見した。

 「被害者は全裸で、遺留品は何一つ残されていなかった。腐乱が激しく、腸にガスが溜まって膨張し、マットとスノコ板を押し上げたとみられるが、司法解剖でも死因は特定できなかった。捜査本部が被害者の似顔絵を公開したところ、3日後に『娘のマンションのカギがかかったままになっている。娘ではないのか』と父親が届け出たため、身許が判明した」(当時を知る新聞記者)

 被害者は職業不詳の井上由香里さん(当時28歳)。両親には「藤谷陽子」の芸名で歌手を目指し、当時はカラオケの指導員をしていると説明していたが、そのような実態は全くなく、毎日どこかへ出かけていくものの、勤務先もはっきりしなかった。

 「彼女は現場近くの祇園の喫茶店に毎晩現われていた。コーヒー1杯で何時間も粘り、テレクラに電話をかけていた。会う約束を取り付けるとスナックやカラオケボックスに行き、そこで3000円から5000円のデート代をもらって生計を立てていたんだ。売春が目的ではないが、彼女の収入源は“援助交際”だったのではないかと思われる」(前出・新聞記者)

 由香里さんの身辺を捜査したところ、彼女の部屋から膨大なメモ書きが見つかった。手帳、ノートといわず、広告の裏、ティーバッグの裏、それをトイレの壁に貼り付けるほどで、そこには男の電話番号やポケベル番号がびっしり書き込まれていたのだ。その数、約3000件。物凄いメモ魔にして電話魔。早い話が“テレクラマニア”だったわけだ。

 「現場のホテルは、深い仲の男女が使うようなホテルではない。飲み屋で知り合ったとか、女を買ったとか、惚れたはれたとは無縁の男女がその場限りで使うホテル。捜査本部も犯人像が絞り込めず、由香里さんの遺体が見つかった2週間後には、由香里さんのキャッシュカードを使って現金を引き出そうとした男の写真を公開した。犯人が逮捕されたのはそれから2カ月後で、大阪市在住の35歳の男だった」(前出・新聞記者)

 由香里さんとはやはり、テレクラで知り合っていた。真相は金銭トラブルだったらしい。こうして、異様な“死体遺棄事件”は幕を閉じた。

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