制裁、コロナ、水害…朝鮮人民軍が「飢餓状態」

制裁、コロナ、水害…朝鮮人民軍が「飢餓状態」

(提供:週刊実話)

韓国中央情報部(KCIA)の流れをくむ国家情報院(国情院)は8月20日、北朝鮮の独裁者である金正恩朝鮮労働党委員長が実妹の金与正党第1副部長ら側近に、国政運営の権限の一部を委譲していると明らかにした。

 親北政権である韓国の文在寅大統領は、これまで一貫して正恩氏は健在であり、その統治能力に変化なしとの姿勢を貫いてきたが、北朝鮮の変調を認めざるを得なくなったようだ。

 国情院は与正氏に移譲された権限が多いとしながらも、経済では朴奉珠党副委員長と金徳訓内閣総理が、軍事では崔富一党軍政指導部長と李炳哲党中央軍事委員会副委員長が権限を委譲され、「委任統治」が進んでいると分析している。

「与正氏は中央党組織指導部のトップ。今や対米、対南(韓国)政策を統括する立場で、軍を除いた党中枢の人事を掌握したことになります。これは最高幹部の首根っこを押さえたも同然で、もう誰も彼女には逆らえません」(北朝鮮に詳しい大学教授)

 与正氏は7月27日の戦争老兵大会を最後に、表舞台から姿を消している。しかも、正恩氏が主催する各種の主要会議にも出席していない。ということは、裏で実質的な支配を強めていると考えられる。

 北朝鮮は来年1月、2016年以来となる朝鮮労働党大会(第8回)を開催することを決議した。米国大統領選挙の結果が判明する直後である。

「北朝鮮は悶々としているはずです。経済制裁の解除などについて、話し合いの余地があるトランプ大統領が再選すればいいが、民主党が政権を奪還すると解決への糸口がなくなるばかりか、一気呵成に『人権問題』で畳み掛けられる可能性もある」(同)

 ここは人権問題に言及しないトランプ大統領にエールを送りたいところだが、米中対立が深刻化する中、中国頼みの北朝鮮は口が裂けても本音を言えない。

「与正氏は米朝関係について、『我々には米国を威嚇する考えがまったくなく、それについては金委員長もトランプ大統領に、立場を明らかにしたことがある。我々を刺激したり、手出しをしたりしなければ、万事がスムーズに運ばれるだろう』という談話を発表していますが、これが精いっぱいでしょう」(同)

 最近の北朝鮮はどこかおかしい。もともとおかしい国だから正常になりつつあるとも言えるが、なんと、あの正恩氏が経済的な失政を認め、人民の生活向上を実現できなかったことを謝罪したのだ。

「それだけではありません。長く新型コロナウイルスへの感染者の存在を否定してきた北朝鮮が、ついに感染が疑われる事件が発生したと認めたのです。感染ゼロは、正恩氏の『指導の偉大性』をアピールする手段として使われてきましたが、感染再拡大に伴う死者の増加で市民の間に不安が広がり、やせ我慢も限界に来たということでしょう」(北朝鮮ウオッチャー)

 当初から日米などの国際社会は、感染者ゼロという北朝鮮の主張を信じていなかったが、もはや隠しきれないほど感染が拡大し、本気で対応に取り組まざるを得なくなった。実際、複数の脱北者が証言したところによれば、平壌ではコロナ感染が拡大し、多数の死者が出ている模様だ。

 また、北朝鮮に異変をもたらせた大きな要因に、大洪水による食糧危機がある。

「コロナ対策で中朝国境を封鎖したところ、これが裏目に出て食糧危機が深刻化しました。さらに追い打ちを掛けたのが、穀倉地帯の黄海北道と黄海南道で起きた甚大な豪雨被害です。結果、今年の穀物の収穫量は『史上最悪』を見込まざるを得なくなり、これまで影響の小さかった支配層まで、遅配や配給量のカットが起きています」(同)

 北朝鮮は歴史的に、内部不満の解消法として、高位幹部を『いけにえ』にしてきた。農業政策の失敗で飢餓(苦難の行軍)が続いていた’97年には、党農業秘書の徐寛熙を処刑。’10年の貨幣改革失敗では、責任を負わされた朴南基党計画経済部長が銃殺されている。

「今回はこうした手法が影を潜め、血の粛清がありませんでした。恐らく与正氏の指示でしょう」(国際ジャーナリスト)

 唐突な挑発行動の停止も異様である。この背景には新型コロナだけでなく、アフリカ豚コレラやパラチフスなどの伝染病の蔓延により、軍機能が著しく低下していることがある。

「弾道ミサイルの発射実験はおろか、大規模な軍事演習も4月14日に日本海側の江原道で行われて以降、確認されていません。コロナの感染拡大やそれに伴う経済の混乱で、軍事的挑発をしたくてもできない事情であるとみられます。国内がガタガタとなり、国の瓦解を前に立ち尽くしている状況なのでしょう」(同)

 こうして国体維持が困難な状況に追い込まれている北朝鮮だが、指揮官の与正氏もまた、兄と同じく万全な健康状態ではないという。

「与正氏は骨結核を患っており、抗結核薬を服用しているらしい。そのため、痛み止めのヒロポンを手放せないという情報もある。’18年の平昌五輪の開催中、彼女が宿泊していたソウルの高級ホテルの部屋から、薬物を使用した痕跡が見つかったとの情報もある」(公安関係者)

 北朝鮮の「金王朝」が崩壊した場合に備え、日本は難民対策を早急に構築しなければならない。

関連記事(外部サイト)