〈企業・経済深層レポート〉温水洗浄便座が米国で爆売れ!

〈企業・経済深層レポート〉温水洗浄便座が米国で爆売れ!

(提供:週刊実話)

アメリカで日本製「温水洗浄便座」の売れ行きが好調だ。国内トップメーカーのTOTOは、今年1〜3月の売上高が、前年同期比の約2倍、同じく第2位のLIXILも60%増の勢いだ。この好調の背景には、新型コロナウイルスの影響があるとみられる。

 これまで欧米では、意外なことに「温水洗浄ハイテク便座」は主流外の存在だった。それだけに、日本のメーカーは今回のチャンスを迎え、さらなる売り上げ増への期待が高まる。

 どれほど売り上げが増えたのか。TOTOの広報担当者が、こう解説する。

「7月公表の当社の’21年3月期第1四半期(’20年1月〜3月)決算資料によれば、温水洗浄便座『ウォシュレット』の今年1〜3月の米国での売上高は、前年同期を100とした場合で224となり、2倍以上の伸びとなりました」

 その理由をこう明かす。

「日本と同様、アメリカでもトイレットペーパーの買い占めが深刻な問題になりました。そのとき洗浄便座が紹介され、トイレットペーパーがなくても用が足りることや、衛生上もコロナウイルス対策に有効であるとの報道も重なり、アメリカで一気に売り上げ増につながったのです」(同)

 実際にアメリカでは、温水洗浄便座の売り上げを押し上げるどんな報道があったのか。全国紙のアメリカ特派員がこう語る。

「アメリカの主要メディアでは、排せつ物から新型コロナウイルスが見つかったことを取り上げ、医療関係者の『お尻洗浄機を使用するほうが衛生的である』というコメントを掲載していました。さらに、温水洗浄便座の特集が組まれ、トイレットペーパーでお尻を拭いても雑菌は完全に取りきれず、そのため水で洗うほうが確実で、経費も節約できるといった記事も見かけました」

 ところで、日本のメーカー関係者によれば、温水洗浄便座のアメリカでの普及率は、およそ10%前後だという。それに対し日本の普及率は80%で、世界トップクラス。となると、温水洗浄便座とは日本発祥なのか。前出のTOTO広報担当者が解説する。

「医療用や介護用として、TOTOが日本で初めて温水洗浄便座をアメリカから輸入したのは1964年です。数年後には当時の国内別メーカーも、同様の使途でスイス製の温水洗浄便座を輸入しました。TOTOは後にそれを国産化し、初代『ウォシュレット』を発売したのが’80年でした」

 この「ウォシュレット」は’82年、当時、話題を集めていた女性タレントの戸川純を起用し、コピーライターの仲畑貴志によるキャッチコピー「おしりだって、洗ってほしい。」の衝撃CMによって、日本中に知れ渡った。それから40年、改良を重ねて今日の「ウォシュレット」に至る。

 一方、ライバルのINAX(現LIXIL)も、こちらは「シャワートイレ」という名称の温水洗浄便座を進化させて、今日のTOTOと激しいシェア争いを展開している。

 それでは、最初に温水洗浄便座を生み出した欧米では、なぜ日本ほど普及が進まなかったのか。

「欧米ではトイレ、洗面台、バスタブが1つのバスルームに収まっており、バスルームは居住空間としての性格が強く、おしゃれなインテリアデザインが重視される。そんなバスルームに、機能性重視の便座は似合わない。また、水をふんだんに使うバスルームにトイレ用の電源を取るのは、安全性の面からも受け入れにくく、それらが温水洗浄便座の欧米での普及を阻んできた大きな理由です」(メーカー関係者)

 現在の日本の温水洗浄便座は、温水温度やノズル角度のコントロール、温風乾燥に脱臭効果、ノズルや便器内の自動洗浄、フタの自動開閉など、ハイテク技術が満載の最新便座として、海外メーカーより一歩抜きん出た存在だ。欧米で地道に温水洗浄便座を売ってきた日本のメーカーは、コロナ禍における思わぬ欧米での伸びを追い風に、よい流れをさらに加速させたいと考えている。

 TOTOは北アメリカでの「ウォシュレット」売上目標を、’22年度は約200億円と、’17年度の約3倍に設定して力を入れる方針だ。また、海外全体でも「ウォシュレット」の出荷台数を、’18年度の58万台から’22年度は200万台に一気に拡大すると強気である。

「LIXILもこのチャンスに、アメリカ市場に力を入れている。アメリカの水まわり専門の設備メーカーやヨーロッパの金具メーカーを傘下に迎え、体制を整えた後にさらなる普及に努めるという」(トイレメーカー関係者)

 ’05年にマドンナが来日した折に、「ウォシュレットに会いに来た」とコメントしたのはあまりにも有名だ。レオナルド・ディカプリオが日本の温水洗浄便座を気に入り、自宅に導入したことも話題になった。

 海外セレブはともかく、これまで一般大衆には「ぜいたく品」として縁遠かった日本の温水洗浄便座だが、今度ばかりは欧米を一気に席巻できるのか注目されている。

関連記事(外部サイト)