休館明け来訪者増 箱根ジオミュージアム

休館明け来訪者増 箱根ジオミュージアム

施設再開後、新たに展示した資料を前に説明する学芸員の山口さん(左) =箱根ジオミュージアム

 箱根山・大涌谷の一部規制解除に伴い、大涌谷園地での営業を再開した箱根ジオミュージアム。新たな展示が関心を呼ぶなどしており、再開1カ月余で7万人超が訪れ、開館初年度となる2014年度の年間来訪者数をすでに上回った。火山情報を発信する施設として苦闘した日々を教訓に、今後も「生きた火山」を教える場として新たな試行を模索する。

 「活動が強まってから、どんなことが起こったかを時系列で案内しています」。8月下旬、館内で日本ジオパーク委員会の現地審査員を案内した学芸員の山口珠美さん(34)は再開後、新たに展示した資料を前に、ミュージアムが火山などの情報発信拠点であることを改めて訴えた。

 箱根ジオパークの拠点施設であるミュージアムの状況が一変したのは昨春。火山活動活発化の影響で、5月6日に噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられ、臨時休館を余儀なくされた。6月29日には観測史上初めて、小規模噴火が起こり、新火口を確認。警戒レベルも3(入山規制)に引き上げられた。

 「火山のことを伝えるのが役割。それは変わらない」。ミュージアムではこうした思いから、臨時休館中、箱根ビジターセンター(箱根町元箱根)などでパネル展示を続けた。

 警戒レベルは段階的に引き下げられ、昨年11月には最低の1(活火山であることに留意)となったが、火山ガスの影響で、規制はその後も長期間続いた。

 再開に向けては、今年7月に火山ガスの影響で基盤が腐食するなどした機器類を修理。展示資料も火山活動活発化前後の変化を比較した写真パネルのほか、昨年4月から今年7月までの経過を紹介する表を新たに用意した。

 7月26日の一部規制解除後、待ちかねたように観光客は一気に押し寄せた。1日の最多来訪者数は3千人超。長田茂館長(62)は8月末までの無料開放と関心の高まりを要因として挙げる。

 山口さんは来訪者の変化をこう指摘する。「これまでは(箱根山が)活火山であることを知らない人も多かった。再開後は、実際に見られる新火口の場所についての質問も多く、前提として活火山であるという認識が生まれている」

 8月下旬、東京都世田谷区から2人の子どもと訪れていた金谷健生さん(42)、佐久子(43)さん夫妻は「火山があるから温泉があり、美しい景観が生まれる。一方で噴火も起こる。そのことを子どもたちに学んでほしい」と話していた。

 ミュージアムは観光施設であると同時に教育的側面も担う。長田館長は昨年の試練を経験したからこそ「生きた火山を学んでほしい」と期待する。

 構想段階だが、昨年の一連の火山活動が分かるよう、動画公開のアイデアを温めている。