水源地に思いはせ 道志村湧き水でビール

水源地に思いはせ 道志村湧き水でビール

醸造が始まった「横浜ビール 道志の湧水仕込」のボトルを手にする太田社長=横浜ビール醸造所

 横浜の水道水の水源にあたる山梨県道志村の道志川。その源流の湧き水を使ったビールの仕込みが横浜ビール(横浜市中区)の醸造所で始まった。東日本大震災で水の大切さに気付き、村民と交流を深めた同社。村内で栽培した農作物とともにビールに親しむことで「市民の命の源である道志村に思いをはせてほしい」と願っている。

 商品名は「横浜ビール 道志の湧水(ゆうすい)仕込(じこみ)」。ドイツの伝統的なビール「ケルシュ」の製法を採用して飲みやすく、きれいな淡い色が特徴だ。1日には初仕込み式が行われ、村から訪れた来賓をはじめ約50人が立ち会う中、太田久士社長(54)が約700リットルの湧き水を仕込み釜に注ぎ入れた。

 太田社長は「恩恵を受けている道志村へ思いをはせることで、自分たちの町を見つめ直すきっかけになる。道志と横浜をつなぐビールとして、横浜の皆さんに飲んでもらいたい」と力を込めた。

 太田社長は震災後から継続的に村へ足を運び、村の面積の9割以上に及ぶ山林が“森のダム”となっていることを知った。自然の幸を生かす村民の暮らしに感銘を受ける一方、過疎や高齢化によって山林や農地の荒廃が進み、多くの課題に直面している現状に心を痛めた。

 そこで、市内の飲食店経営者たちに声を掛け、耕作が放棄されていたワサビ田を開墾してワサビを共同栽培。キクイモの栽培にも挑んだ。道志産のさまざまな食材を共同で仕入れ、同社の直営レストラン「驛(うまや)の食卓」(中区)や市内飲食店で扱うようになった。

 太田社長は「このビールが定番商品として横浜で愛されるようになり、道志村の豊かな食材とともに味わってもらえれば」と期待する。ビールの収益の一部は村の伝統芸能「東(あずま)富士七里太鼓」の保存など地域振興に役立てる。

 10月下旬に仕上がり、横浜市内を中心とした飲食店やそごう横浜店などで販売する。ボトルと店舗向けの樽(たる)生の2種類を展開。ボトルは500円(税別)。問い合わせは、横浜ビール電話045(212)9633。