ヘイト被害の実態学ぶ 川崎の日韓議連が勉強会

【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市で在日コリアンを標的に差別と排斥をあおるヘイトスピーチが繰り返されている問題で日韓友好市議会議連(会長・大島明自民党市議)は4日、勉強会を開いた。同市では人権侵害を未然に防ぐ条例を求める声が被害者などから上がっており、条例制定において審議・議決という役割を担う市議会の動向が注目される。

 勉強会は非公開で行われ、在日集住地域である同市川崎区在住の在日3世の女性と、県弁護士会人権擁護委員会委員長の本田正男弁護士を講師に被害の実態とヘイトスピーチ規制をどう考えるかについて学んだ。

 終了後、取材に応じた大島会長によると、被害当事者である女性からはヘイトデモで地域住民や子どもたちが受けた心の傷と再び行われるのではないかという不安が語られたという。差別反対の声を上げたことで自身と長男がインターネット上でさらなる誹謗(ひぼう)中傷を受けていることも明かされた。

 本田弁護士は人権を侵害する言動は守られるべき表現の自由には当たらないと強調。基本的人権の尊重を基本原理とする憲法の趣旨から差別的言動は制約され得ると説明した。

 日韓議連には市議60人のうち全会派(自民、民主みらい、公明、共産)の56人が所属しており、勉強会には全会派から約40人が参加した。大島会長は「議会中の急な開催にかかわらず多くの参加があったのは問題意識の高さの表れ。ネットによる被害など深刻な実態を知ることができてよかった」と話した。

 市内では「ゴキブリ朝鮮人を殺せ」と殺害までをあおるヘイトデモが2013年5月から12回行われてきた。今年5月には市内在住の男性が新たなデモを川崎区で行うと予告したが、福田紀彦市長は男性の公園使用申請を認めなかった。日韓議連はその際、市議会や市日韓親善協会(会長・斎藤文夫元参院議員)とともにヘイトデモ阻止の要望を福田市長に行い、差別目的の公園使用を不許可にするという全国初の判断を下支えした経緯がある。

 男性が中原区に場所を変えて強行したデモが市民の抗議で中止に追い込まれた6月5日以降、市内での実施はないが、ヘイトスピーチ解消法の施行後も全国各地で差別主義者によるデモや街宣が続いている現状がある。市の付属機関・市人権施策推進協議会(会長・阿部浩己神奈川大法科大学院教授)では人権差別全般を禁じる条例の必要性が論じられており、大島会長は「12月に出される協議会の答申結果などを受け、必要に応じて勉強を重ねていきたい」と話す。

 条例を巡っては市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」も市民案づくりに向けた勉強会を続けている。